脳脊髄液減少症や水頭症など脳脊髄液循環障害を専門に診療を行っている高橋浩一の公式サイトです。

メンタル・トレーニングの効果

メンタル・トレーニングの効果

T.Sさん(88歳、男性)、数ヶ月の間に進行する意識障害、歩行障害などを主訴に私の外来を受診されました。

受診時、「無動、無言」状態、いわゆる動かず、喋らずでした。 画像所見を見ると、脳内の髄液がたまる部屋、脳室の拡大を認めました。

 水頭症の可能性を検査するため、髄液を排除すると、直後に言葉を発します。しかし、数時間で、また元の状態に戻ります。 2回ほど、髄液排除を行いましたが、同様な結果でした。

御家族と今後の方針を相談させて頂き、

  1. 手術
  2. 髄液排除を繰り返す
  3. 経過観察

の選択肢が挙げられました。

問題は88歳という年齢です。麻酔一つにしても危険があります。 相談の末、家族が手術を希望されたため、先日、手術を行いました。

 手術室に入室し、麻酔を導入すると、いきなり血圧が50mmHgに低下しました。昇圧剤投与にも反応しません。尿もでません。麻酔科医師は明らかに動揺しています。

 私は冷静に麻酔科医を信用し、状態が安定するのを待ちました。 30-40分位たつとようやく、血圧が上がってきたため、手術を開始しました。

手術は順調に進みましたが、手術中に呼吸器が外れるなど、予想外の事態も起きました。 しかし、私は常に冷静を保てました。 常に冷静を保てたのは、メンタル・トレーニングを勉強させて頂いた効果と思います。

手術が終了し、麻酔からも覚め、家族と面談した時、 奥様の「お父さん、大丈夫?」 の問いに、 「うん!」としっかり答えたT.Sさん。これを見た奥様、お嬢様は、涙を浮かべました。

この光景を見ただけで、全てが報われた気分になります。