小児期学童期に発症した脳脊髄液減少症 治療予後と問題点
- 2017.06.06
- 脳脊髄液減少症
第45回 日本小児神経外科学会 抄録です。
小児期学童期に発症した脳脊髄液減少症 治療予後と問題点
Clinical analysis of cereborspianl fluid hypovolemia in childhood and adolescence:
高橋 浩一山王病院脳神経外科
Koichi Takahashi Department of Neurosurgery, Sannou Hospital
目的
小児期(15歳以下)に発症した脳脊髄液減少症について治療予後を中心に検討した。
対象と方法
対象は、15歳以下に脳脊髄液減少症を発症し、発症から5年以内にブラッドパッチを施行した167例(男性81例、女性86例、平均年齢13.2歳)である。
結果
ブラッドパッチ前は、欠席せずに通学できる症例(Grade 1)が10例 (6.0%)、症状のため、通学できる日が限られる症例 (Grade 2) が71例 (42.5%)、通学不能例 (Grade 3) が46例 (27.5%)、ほとんど寝たきり状態 (Grade 4)が、40例 (24.0%) であった。これがブラッドパッチ施行後には、症状消失(Grade 0)が69例 (41.3%)存在した。またGrade 1が35例 (21.0%)、Grade 2が47例 (28.1%)と、9割以上が、就学可能な状態に改善した。一方で、Grade 3が12例 (7.2%)、Grade 4 が4例 (2.4%)と、難治例も存在している。
考案
小児期発症の脳脊髄液減少症に対するブラッドパッチは成人症例と比較して有効である。しかし、脳脊髄液減少症小児例の認知度が低く、治療可能施設が限られるなど課題が残されている。また近年問題となっている、HPVワクチン関連免疫異常症候群(HANS)と診断され、ブラッドパッチが効果を認めた症例を経験している。これら症例の蓄積により髄液の機能について新たな知見が得られる可能性がある。
結論
脳脊髄液減少症小児例において、ブラッドパッチは有効な治療法である。そのため本症の認知度向上が望まれる。頭痛をはじめとする難治性の不定愁訴症例では、脳脊髄液減少症の可能性を考慮すべきである。
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ご無沙汰しております。
小児例 ありがとうございます。
文科省は 各都道府県教育委員会へは 事務連絡を 毎年出していると記憶していますが 現場教師には通知が届いておりません。
せめて養護教諭だけでも この病気を知ってほしいです。
不登校の 児童生徒の中に 脳脊髄液減少症 が いるかもしれないと思うとかわいそうで・・・。
研究班が 子供の症例を取り上げてほしいです。
意見が古かったら削除をお願いします。
tom’smam様
コメントありがとうございます。
AMEDでは小児脳脊髄液減少症研究班が立ち上がって、研究を進めております。
私も加わらせて頂いています。より良い診断、治療成績、そして認知度向上を目指して頑張ります。
高橋浩一 先生
tom’s mam 様
例の通知の宛先をご覧になりましたか?
学校長宛で、教員間の周知を図るような但し書もないのです。
むしろ、当初、文科省は、本症が周知?されるのを敬遠?したのでは?とさえ思います。
こうろうしょうが、あの時点では保険適用していなかった疾病を文科省が注意喚起するはずもなく・・・
私のあの高橋先生の講演会ですら、市の保健体育課からクレーム?をいただいたくらいですから。
ただ、高橋先生が養護教諭向けの雑誌二社に寄稿されましたので、知名度は確実にアップしていると思います。
すくなくとも、我が市の養護教諭の先生で、この病名を知らない方はいないだろうというところまでは、お手伝いさせていただきました。
あきちゃんで~す様
コメントありがとうございます。
>すくなくとも、我が市の養護教諭の先生で、この病名を知らない方はいないだろうというところまでは、お手伝いさせていただきました。
とてもありがたいです。今後ともよろしくお願いします。