倫理委員会
- 2015.03.10
- 脳脊髄液減少症
山王病院では
- 人工髄液 (アートセレブ) 注入療法
- フィブリン糊パッチ療法
を脳脊髄液減少症の新たな治療法として倫理委員会に臨床研究の申請を行い、先日、承認されました。
今後、数年かけて人工髄液注入療法、フィブリン糊パッチ療法の有効性とリスクなど研究します。
(ともに健康保険適用外のため、自費診療となります。 )
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高橋浩一 先生
山王病院は、脳脊髄液漏出症と診断された症例に対する、ブラッドパッチ治療への先進医療をはじめ、脳脊髄液減少症に深い理解を示している病院だと思います。
そういう先生方の輪が、日本全国、もっともっと広がるといいと思います。
「診断はするが、治療はしない。」という病院が相当数あります。
あるべき医療の姿ではないと思うからです。
そういう意味で、今回の倫理委員会の決定は、先鞭をつける働きをしたと思います。
高橋 浩一 先生
先日ご紹介した順天堂大学 樋野興夫教授のご著書「いい覚悟で生きる」の中に、「日本病理学の父」山極勝三郎教授のことが紹介されています。
不勉強で、存じ上げなかったものですから、本を読んでみました。
・「栄光なき天才たち 4」 伊藤智義 著(集英社コミック文庫)
・「まぼろしのノーベル賞 山極勝三郎の生涯」(神田愛子著、国土社)
氏は、ウサギの耳にコールタールを塗布することによって、人工がんを世界で初めて発生させた人です。
(それで、がんが発生したということは、タバコは恐ろしいですね…)
しかし、氏の研究は、競争者はおろか、同じ研究室の同僚からも揶揄されて、東洋人差別からノーベール賞も幻となったそうです。
この伝記を読んで、新しい研究というのは、常にこのような危険にさらされているのだと強く感じました。脚気論争の昔から…
脳せき髄液減少症の研究も、理科的なこと以外にも、社会科的な障害がさぞ多かろうとお察しします。
どうか、先生方には、患者様のため、世界の医学のために、ご尽力くださるようお祈りいたします。
あきちゃんで~す様
コメントありがとうございます。
コールタール塗布により皮膚がんを誘発する実験は聞いた事がありましたが、そのような状況とは存じませんでした。
紹介頂いた著書、読んでみたいと思います。
御指摘の通り、新たな医学概念登場の時は、常に理科的なこと以外にも、社会科的な障害が付きまとうと思います。新たな学説を提唱された先生方は、皆、口をそろえて言っている印象です。
こんにちは。
フィブリン糊パッチ療法は、自己血でのブラットパッチで漏れが止まらない場合、
この療法で確実に漏れを止めれると聞いたことがあります。
これから研究段階とは思いますが、現段階での先生の考えを教えて下さい。
また副作用もあるのでしょうか。宜しくお願いします。
そら様
コメントありがとうございます。
まだ、治療効果について述べられるほどの症例経験がないので、現段階で言えることは、
「ブラッドパッチの効果が一時的など難治している症例の中で、フィブリン糊パッチが効果を示す場合がある。」
といった所です。副作用に関しては、私の知る限りでは、現時点で重大なものは報告されていません。