脳脊髄液減少症や水頭症など脳脊髄液循環障害を専門に診療を行っている高橋浩一の公式サイトです。

固まった血は、どのように変化するのか?

固まった血は、どのように変化するのか?

あきちゃんで~す様より

「ブラッドパッチでは、固まった血は、どのように変化するのですか? 」

という質問を頂きました。

同様の質問をたびたび頂くので、私の考えを述べさせて頂きます。

単純に髄液の「漏れ」を「傷」とすれば、血液による創傷治癒機転が働き、いわゆる「かさぶた」である痂皮と、肉芽が生じて、「傷」が治癒します。

血液は痂皮と創傷瘢痕として残るのではないかと思います。

ただ脳脊髄液減少症の病態は、もっと複雑であると考えています。そのために髄液の動態を理解しなくてはいけません。

髄液の吸収機序に関しては、いまだに不明な点が多く残されています。

その中で脊髄レベルでの吸収は、重要と推察しています。

吸収のために重要なのは

  • 圧の較差 (静水圧、浸透圧)
  • 能動輸送
  • 神経または液性調節

などです。

髄液の吸収に関して能動輸送、神経調節は、現段階では明らかにされていません。

そのため圧格差が大切でしょう。脊髄レベルでは髄液圧と硬膜外の圧力の較差により髄液吸収量が決まってくる可能性があります。

ブラッドパッチを行う事で硬膜外の圧力を上げて、髄液吸収を抑制するといった点も重要かと考えています。

研究が進み、脳脊髄液減少症の病態解明、治療予後の向上につながる事を祈っています。