脳脊髄液減少症や水頭症など脳脊髄液循環障害を専門に診療を行っている高橋浩一の公式サイトです。

起立性頭痛

起立性頭痛

起立性頭痛は、脳脊髄液減少症のキーの症状です。
しかし、起立性頭痛を伴わない脳脊髄液減少症も存在します。

例えば、寝ていても頭痛がある方々、頭痛は軽度だが、強固な頚部痛のある方々・・・

脳脊髄液減少症は、まだ歴史が浅いため、広く認められていません。

しかし、検査でしっかり脳脊髄液減少症としての所見が認められても、「起立性頭痛」がないから、脳脊髄液減少症ではない!といった意見のため、脳脊髄液減少症そのものが認められない方々も少なくありません。


心筋梗塞という病気があります。「胸痛」がキーの症状です。
しかし「胸痛」を示さず、咽頭部痛、下顎痛、左手の痛みなどで発症する心筋梗塞も存在します。

通常、咽頭部痛で発症しても、心電図などの検査で心筋梗塞の所見を認めた場合は、心筋梗塞と診断し、心筋梗塞の治療をします。

同様に起立性頭痛がなくとも、寝ていても辛い頭痛があって、RI脳槽シンチなどで髄液漏出を認めた場合は、脳脊髄液減少症と診断し、脳脊髄液減少症の治療を考慮するのは、至極当然と思います。

臨床において、教科書的な症状はもちろん大切ですが、教科書どうりでない経過を示す場面には、多々遭遇します。その都度、臨機応変に対応するのが、臨床家として大切と思います。


私が研修医時代に外科の患者様の大腸のレントゲンを見ていて、大腸癌を疑っていた時に、

「これは絶対、大腸癌でない!」と言い張った医師がいました。

理由を問うと、

「アップルコア(大腸癌の典型的な所見の事)がないじゃないか!」

と言ったとたん、皆にばか者扱いされましたが、

「起立性頭痛」がないから脳脊髄液減少症でない!

という事と同次元の感があります。