脳脊髄液減少症や水頭症など脳脊髄液循環障害を専門に診療を行っている高橋浩一の公式サイトです。

特発性低髄液圧症候群と脳脊髄液減少症

特発性低髄液圧症候群と脳脊髄液減少症

特発性低髄液圧症候群脳脊髄液減少症は、治療法はともにブラッドパッチですが、異なる病態と考えています。

特発性低髄液圧症候群SIH: spontaneous intracranial hypotension は、

  • 軽微な外傷、もしくは誘引なく発症
  • 画像上、典型的な所見を呈する事が多い
  • 髄液圧は低圧の事が多い
  • 予後良好
  • 慢性硬膜下血腫を合併する事がある

といった特徴があります。

頭部MRI上、びまん性硬膜造影を示せば、ほとんどの症例が、特発性低髄液圧症候群と考えて良いでしょう。
RI脳槽シンチのみならず、MRミエロ、CTミエロでも異常所見が高率に認められます。

これに対し脳脊髄液減少症は、

  • 交通事故など、強い外傷で発症する事がある
  • 原因不明例も少なくない
  • 画像上、典型的な所見を呈する事が少ない
  • 髄液圧は正常圧
  • 治療改善率:約75%
  • 胸郭出口症候群を合併する事がある

といった特徴があります。

私見ですが、典型的な症状や兆候を示す特発性低髄液圧症候群に対し、それ以外が脳脊髄液減少症と考えています。なので脳脊髄液減少症は、原因を問わず、非特発性と考えるべきとも思っています。

また脳脊髄液減少症は外傷性と特発性に分類され、特発性は原因不明の脳脊髄液減少症についてと広く思われていますが、少なくとも狭義においては、特発性=特発性低髄液圧症候群のみと考えるべきでしょう。

ちなみに山王病院では、脳脊髄液減少症症例の方が圧倒的に多いです。