動眼神経について
- 2013.10.08
- 脳脊髄液減少症

脳神経の一つ、目を動かす動眼神経
麻痺を生じると、眼球運動障害などの症状が出現します。
症状や治療方法、予後などは、それぞれ原因によって異なります。
動眼神経麻痺の原因として比較的多いのは外傷性です。
外傷性の場合は、頭部、顔面部の打撲により生じる場合が多く、受傷後、比較的早期に発症します。
動眼神経麻痺の状態が不完全であれば、形態的に動眼神経が保たれている可能性が高いため、ビタミンB12などの内服で、保存的に回復を待ちます。
動眼神経が完全麻痺、もしくは、しばらく経過しても症状が残存する時は、眼球運動に関して、眼位をずらすなどの眼科的治療が適応になる場合があります。
これに対して脳脊髄液減少症に伴う動眼神経麻痺は、受傷して数日後に発症し、徐々に進行する事が多いようです。
ただし、脳脊髄液減少症に伴う動眼神経麻痺は、まだ、症例が少ないため、今後の検討が必要でしょう。
また、特に誘因なく物が二重に見えるなどの症状が出現し、これが動眼神経神経麻痺であった場合は、まず、脳動脈瘤を否定すべきでしょう。
内頸動脈に発生した脳動脈瘤の一部は、脳動脈瘤の拡大に伴い、動眼神経麻痺を発生する場合があるからです。
脳動脈瘤は、破裂すると、くも膜下出血を生じますが、動眼神経麻痺発症の脳動脈瘤は、破裂前に診断が可能となります。破裂すると生命にかかわる事態になりますので、破裂前の診断は重要です。
脳動脈瘤の拡大により動眼神経麻痺が生じる場合、神経の外からの圧迫が原因となります。動眼神経の中でも、内眼筋麻痺という、瞳孔の調節機能が先行して障害される場合が多いです。
これに対して、糖尿病に伴う動眼神経麻痺は、眼球運動障害、眼瞼下垂といった外眼筋麻痺が先行する場合が多いです。
これは動眼神経の外側を内眼筋を支配する神経線維が走行するのに対し、外眼筋を支配する神経線維は動眼神経の内側を走行します。
このような解剖学的特徴から、動脈瘤のように外側からの動眼神経圧迫では内眼筋障害が生じやすいです。
一方で、糖尿病は血流障害により神経が障害を受けるので、血流が滞りやすい内側がダメージを受けるため、外眼筋障害が先行します。
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