脳脊髄液減少症や水頭症など脳脊髄液循環障害を専門に診療を行っている高橋浩一の公式サイトです。

動眼神経麻痺

動眼神経麻痺

動眼神経とは、脳神経の一つで、目や瞼を動かしたり、焦点を調節したりする機能があります。 動眼神経が麻痺すると、

  • 眼瞼下垂(瞼があかない) 
  • 眼球運動障害 眼球が外転位(外側にずれる) 
  • 散瞳(瞳孔が大きくなる) 
  • 複視(物が二重に見える)

といった症状がでます。 
動眼神経麻痺を生じる原因としては 

  • 糖尿病性神経障害 
  • 脳動脈瘤 
  • 脳腫瘍脳梗塞 
  • 頭蓋内圧亢進 
  • 外傷性

などが挙げられます。 
外傷性動眼神経麻痺は、通常、外傷直後から症状が出現し、症例によっては徐々に改善していきます。 

この動眼神経麻痺は脳脊髄液減少症によって生じる場合があります。 

K.S君(16歳、男性) サッカー選手、

将来はスポーツ関係の仕事に就きたいとの夢を持つ高校生です。

K.S君は、運動会の練習でバク転をした際に頭部を外傷しました。 その2日後より、頭痛、左上眼瞼の下垂が出現、持続しました。症状が強固で、大好きなサッカーはもちろん、就学にも支障を来たす状態となりました。 大学病院を含め、何ヶ所もの病院を受診するものの、「精神的な問題」との回答が続くのみでした。 

K.S君は体調不良で、判断力も低下して、ただただ、目の前の時間を頭痛と共に過ごすのみでした。K.S君を支えたのはお母さんです。 
「うちの息子は、精神的に弱い子でない。絶対に何か病気があるはず!」
との信念を曲げず、脳脊髄液減少症の病名を知り、山王病院を受診しました。 

検査結果は、脳脊髄液減少症。
ブラッドパッチを受け、頭痛と動眼神経麻痺が治療直後から改善し、現在は夢に向かって、頑張られています。 


動眼神経麻痺を合併した脳脊髄液減少症は、私自身2例経験しており、ともにブラッドパッチにて改善しています。

外傷から少し時間をおいて動眼神経麻痺を発症し、徐々に進行して、脳梗塞などの異常が認められない場合は、脳脊髄液減少症の合併を考慮して良いと思います。