脳脊髄液減少症や水頭症など脳脊髄液循環障害を専門に診療を行っている高橋浩一の公式サイトです。

小児脳腫瘍 親子の闘い

小児脳腫瘍 親子の闘い

4月24日の日経新聞夕刊の、「寄りそうケア」というコーナーに「小児脳腫瘍 親子の闘い」というタイトルで、悪性脳腫瘍を患った男児と、家族、そして治療を担当された医療スタッフが取り上げられています。

この男児「鈴木浩君」(仮名)は、手術、化学療法、放射線療法を受け、現在、元気な小学生生活をおくられています。しかし、実は、治療後に非常な困難が待っていました。

仲の良い友達に髪の毛の薄い頭の事をからかわれ、

「学校に行きたくない」

と言い出します。学校から理解がなかなか得られず、本当に苦しい日々だったそうです。

そのような状況で、現埼玉医科大学国際医療センター柳澤隆昭准教授は、お母様の京子さん(仮名)に

「入学以来、生活面や勉強面でみんなに追いつこうと必死に頑張ってきたのだから、少し休ませてあげてはどうですか」

とアドバイスされたそうです。

その他に、小児看護外来のカウンセリングを紹介されるなど、京子さんおよび浩くんに対し、適切なメンタルケアをされたことでしょう。学校側にも理解を頂けるようになりました。

浩くんが学校に復帰すると、拍手が起こり、もう誰も頭の事をからかう人はいなくなったそうです。


柳澤准教授には慈恵医大時代に、多大な御指導を賜りました。
小児の病気を治すには、子どもだけでなく、家族のケアも大切との姿勢がとても伝わり、非常に共感させて頂きました。

慈恵医大時代、医師のみでなく、看護スタッフ、臨床心理士など、多くの専門職が連携をとるカンファレンスを開き、柳澤先生は皆の意見を一つ、一つ尊重されていたのを忘れません。

このブログのO君に対して、充分なケアをしてあげられなかった自分自身を反省し、柳澤先生の姿勢を、さらに見習いたいと思います。

今後も、病気だけでなく、病人、そしてその家族を診るべく、頑張っていきたいと思います。

浩くんは、この春に小学5年生になりました。毎年、新学年になると京子さんは校長先生、担任の先生へ浩くんの病状を説明されます。全てを振り返り、説明するためかなりのエネルギーを使うそうですが、

「毎年恒例!」

と明るく話されます。

また、クラスが変わるので、不安がある一方で、京子さんは

「新しい友達の輪が広がるチャンス」

と見守られているそうです。

いまだに多くの苦労があると推察しますが、明るく、前向きに対応されている姿に感銘します。

浩くん、京子さん、そして御家族の方々の、益々の御活躍をお祈りします。