脳脊髄液減少症や水頭症など脳脊髄液循環障害を専門に診療を行っている高橋浩一の公式サイトです。

胸郭出口症候群

胸郭出口症候群

以前、交通外傷後に脳脊髄液減少症を患われ、他院にてブラッドパッチを3回施行されたJ.Mさん(男性)。
症状がほとんど改善しないため、セカンドオピニオン目的で山王病院を受診しました。

J.Mさんは頭痛、頚部痛、倦怠感にくわえ、右手に力が入りにくい、しびれるといった症状も合併しており、就労不能の状態でした。

J.Mさんを診察すると、胸郭出口症候群が強く疑われました。

そこで、胸郭出口症候群の治療経験豊富な病院を紹介させて頂きました。

その病院で胸郭出口症候群の確定診断が得られ、手術を施行、治療後、右手の症状に加え、頭痛、頚部痛、倦怠感なども改善しました。

外傷後に手の障害を認める場合、脊髄損傷、神経根障害などがありますが、時に胸郭出口症候群を合併している事があります。

この胸郭出口症候群とは、手をつかさどる神経、血管が鎖骨の上で圧迫され、手のしびれや手に力が入りにくいなどの運動障害を伴う症候群です。

この胸郭出口症候群は、しばしば、交通事故など外傷後に発症します。 外傷性脳脊髄液減少症に合併する事も稀ではありません。

脳脊髄液減少症に合併した場合、ブラッドパッチのみで手の症状が軽快した方もいます。 また、J.Mさんのうようにブラッドパッチを数回行っても、頭痛などが持続する方で、胸郭出口症候群の手術を受けられ、手の症状のみならず、頭痛なども軽快した方もいます。

「胸郭出口症候群は外傷により発症し得る」と、医学の教科書にも載っており、保険適応です。

外傷後に上記のような手の症状が持続している場合は、考慮すべき症候群と思います。しかし、この胸郭出口症候群の認知度は低く、原因不明の手の運動障害などと診断されている方も少なくありません。