脳脊髄液減少症や水頭症など脳脊髄液循環障害を専門に診療を行っている高橋浩一の公式サイトです。

なぜ腰からの漏れが多いのか?

なぜ腰からの漏れが多いのか?

脳脊髄液減少症、特に外傷性の場合、髄液の漏出部位としては腰椎が多いです。

しかし、

「なぜ首の怪我で腰なのか?」
「腰は全然痛めたことが無いのに?」

といった質問を良く受けます。

例えば歯磨きチューブのど真中に空手チョップを加えた場合、空手チョップを受けた部分は何とも無いのに、キャップがはずれ、そこから歯磨き粉が漏出します。

空手チョップによって受けた圧力が、両端に伝わりキャップがはずれるからです。

キャップを腰と考えた場合、脳脊髄液減少症の髄液漏出も、これにイメージは似ているのではないでしょうか?

頭や首に受けたダメージにより髄液圧が一時的に上昇し、それが頭と腰と両方に伝わります。

脳の方は、髄液が多く存在するため、圧力が緩衝されやすいです。(パスカルの原理での表面積が大きい状態で、単位面積あたりの圧力が低くなると考えられる。)

これに対し腰は、漏れやすい状態にあります。

(詳細は遠藤健司ら 脊髄脊椎ジャーナル 19. 362, 2006)

また痛みの部位と漏出の部位は一致しない事が少なくありません。

脳脊髄液減少症の症状には、頭痛が最も多いですが、頭からの漏れの症例が少ない事をみても分かります。