子どもの頭痛
- 2010.08.04
- 脳脊髄液減少症

5年前から頭痛のため、日中でも半分以上、寝ている状態が続いている13歳のN.Tさん(女性)
頭痛で有名な病院、医師を何ヶ所も受診、いくつかの治療を受けましたが、効果的な方法はありませんでした。
御家族が脳脊髄液減少症の可能性について尋ねると、口をそろえて
「まず、違います。」
「精神的な問題でしょう。」
中には、「お母さんがいなくなれば、頭痛は治りますよ!」
といった事も言われたそうです。
N.Tさんは脳脊髄液減少症の可能性を求めて、山王病院を受診されました。
頭痛は、典型的な起立性頭痛ではありませんが、横になると軽減する傾向にあり、外来診察時には脳脊髄液減少症の可能性は否定できません!という話をしました。
N.Tさんと御家族が精査・加療を希望され、先日、RI脳槽シンチを施行、検査の結果、脳脊髄液減少症と診断し、ブラッドパッチを行いました。すると頭痛が軽快!
N.Tさんの5年ぶりの笑顔に、御家族も喜ばれていました。
子どもの頭痛の診断・治療は時に困難な場合があります。私自身も、完璧に診断・治療を進められる訳ではありません。
しかし、難治性の頭痛の中には間違いなく脳脊髄液減少症が存在します。
様々な治療をされて、効果が乏しい場合など、治療の選択肢の一つとして、脳脊髄液減少症を考えるべきと思います。
高橋浩一 先生
「インフォームドコンセント」という言葉は、すっかり社会に定着し、中学生の社会科の教科書にも「侵すことのできない人権」として載っているくらいです。
患者としては、十分な説明をしていただいてありがたいと思っています。
しかし、脳脊髄液減少症のケースでは、Dr.から、「精神的な疾患です。」といわれたり、果ては、「気のせいです。」とか「怠けではないですか?」などと診断?されてしまう場合も多いと伺います。
もちろん、Dr.がすべての病状を間違いなく治療できれば、それに越したことはないのですが、現実には、先生方にもわからないことが多いと思います。
せめて、そういう場合に「他科受診」を勧めていただけたら…そして、脳脊髄液減少症にくわしいDr.につながれたら…と思っています。
「他機関紹介」は、相談業務に携わる職種の基本中の基本の一つです。Dr.には科学的な技能だけでなく、そういった「カウンセリングマインド」も十分発揮して下さるよう願っています。
F様
コメントありがとうございます。
御指摘の通りです。原因が分からない場合、精神的と判断せず、脳脊髄液減少症の可能性があるので、専門医を紹介頂けると、救われる方が増えると思います。
高橋浩一 先生
今晩の巨人は「楽勝モード」でした。笑
そこで、チャンネルをG+からBSに変えたら、
「総合診療医ドクターG」という番組をしていました。
http://www3.nhk.or.jp/hensei/program/k/20100803/001/10-0700.html
患者の病名を、再現ドラマをヒントにみんなで推理する番組です。NHKの分類では、ワイドショーの「クイズバラエティ」ということになっていますが、大変おもしろい「医療情報番組」でした。
研修医たちが指導医とカンファレンスをしながら、病名を探ってくという形ですが、指導医は、先日の「踊れドクター」のお話の千葉大・生坂教授でした。
歩行障害を伴う脊髄の異常が、ビタミンB12欠乏と関係するというとてもおもしろい結論でしたが、考えてみれば、脚気もビタミンB1の欠乏から起きるですよね?
最初は、それぞれに全く違う病名を言っていた研修医の方たちが、最後には同様の結論に至った姿を見て、「病名を推論する」難しさやを感じたり、高木博士を思い出したりしていました。
また見てみたいと思います。皆様もどうぞ。
http://homeroom-doc.com/g/g-index.html
あきちゃんで~す様
コメントありがとうございます。
亜急性連合性脊髄変性症、名前は聞いた事がありますが、症例の経験はありません。
生坂先生は、当初は神経内科を専門にされていました。診断困難と言われる疾患の中には、神経内科疾患が少なくありません。生坂先生の力の一つと思います。