踊れドクター
- 2010.07.19
- 脳脊髄液減少症
普段、医療関係のドラマは、ほとんど見ないのですが、昨日は、天使の吐息でしょうか?
TBSテレビで、東山紀之さん主演、「GM~踊れドクター」を拝見させて頂きました。
ある男性が、筋萎縮性側索硬化症 ALS と、神経内科の権威の医師に診断されます。
ALSは、現在の医療では治療法が存在せず、不治の病と言われています。
しかし、権威医師の診断に、矛盾が存在することに気付く総合診療科チーム。
いくつもの鑑別診断を考慮しますが、確定に至りませんでした。
そのうちに、その男性が空手で鼻を強打した後に、しばらく鼻から水の漏れが止まらなかった!
MRIの横切りでは判断が難しいが、縦切りで脳の下垂が認められる!
といったシーンが出てきて、全身がしびれる想いでした。
確定診断は「キアリ奇形」
http://ja.wikipedia.org/wiki/アーノルド・キアリ奇形
小脳扁桃が下垂する疾患です。
その男性は、直ちに手術を受け、回復されました。
髄液が漏れる!MRIで縦切りが必要!
脳脊髄系減少症のキーワードです。
このような疾患を取り上げて頂き、感謝です。
権威のある医師は、多くの場合、適切な診断を下されます。
ただし、高名な医師も人間です。
時には原因不明、もしくは治らない!と診断される事もあるでしょう。しかし適切な診断、治療で回復される事は、脳脊髄液減少症診療では、少なくありません。
さらに東山さん扮する医師が、
「稀な病気で知らなくても恥ずべきことではありませんよ」
という言葉にも、熱く感じるものがありました。
脳脊髄液減少症が稀な病気でないと、認知度向上が必要と再認しました。
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高橋浩一 先生
私は、以前にお話ししたアメリカのドラマ「ドクターハウス」や日本の最近の医療ドラマで、「医学監修の入念さ」に注目しています。しばしば感嘆させられます。
「GM~踊れドクター」は、千葉大の生坂政臣先生の監修ですね。生坂先生は、千葉大附属病院の総合診療部の部長をなさっています。
総合診療部は、
「診断のついていない症候や健康問題を有する患者に対して、生物・行動・社会的な問題すべてを原因臓器に限定されない包括的な切り口での診療」と定義して、また、ほとんどの外来疾患は病歴で診断できるという立場から、特に医療面接に重点を置いた診療を行っている」のだそうです。
素人の私などに推測が許されるのなら、高橋先生と非常に近い考え方なのではないか、と思います。
「自分の専門でないから、診ない」とか「それは、体の病気ではない。」などという責任転嫁が許されない診療科なのだと思います。
高度に細分化された大学病院の診療科のなかに、「何でも診ますよ」という科がある安心感は、まさに「患者の立場に立った医療」といえるのではないでしょうか。
そして、生坂先生の「隙間を埋める」姿勢の医療に、私も自分の仕事と同じ「におい」を感じております。
そういう姿勢が
『見逃し症例から学ぶ日常診療のピットフォール』(生坂政臣著,医学書院刊)という著書を話題にさせ、さらに、ああいったドラマに仕上がっているのではないかと思います。
そういう医師に目をつけた、番組関係者の方の見識にも敬服いたします。
あきちゃんで~す様
コメントありがとうございます。
現在の専門分野が細分化された現状は、プラスの部分が非常に大きいのですが、御指摘頂いた問題点も存在します。
私自身も考えなくてはいけない点もあり、勉強になります。
現在でも、分からない事だらけの医学ですが、その現状で、ベストの道を今後も勉強していきたいと思います。
生坂先生の著書、拝読させて頂きたいと思います。情報、ありがとうございました。
高橋浩一 先生
不覚にも、複数の病院で違う部位を定期に診察していただく身となっておりますが、それぞれの病院で、相手の部位の症状を、Dr.がとても重篤におっしゃいます。笑
そして、ご自分の専門分野については、とてもていねいに
「インフォームドコンセント」を心がけて下さっています。
「専門」とは、そのようなものなのだろうという患者としての理解です。
そのような状況の中で、最近「総合診療科」を設ける大病院が増えていることは、すくなくとも「迷える子羊」を、「入り口」の段階で救うことにはなっているのではないでしょうか。
脳脊髄液減少症にも、一日も早い「全国的な診断基準の確立」と「適切な治療・他科紹介」などが行き届くよう心から願っています。
高橋浩一 先生
続けて失礼します。
「縦割り」は、日本社会の「得意分野」です。
行政に限らず、日本社会の大きな原動力になっています。
一方「横断的」な物事の処理が不得意な民族?なのではないか、と思います。
行政でも、「消費者庁の創設」や幼児教育の「幼・保一元化」に見られるように、「社会事象を横断的に処理する動き」がすこしずつですが、出てきています。
医学界にもそういった「横断的なものの見方・考え方」も必要な時代なのではないでしょうか。
高橋浩一 先生
何度も続けてすみません。
言葉を思い出したものですから。
「プライマリー・ケア」の考え方が日本でも広まるといいのに、と思っています。
あきちゃんで~す様
コメントありがとうございます。
実は脳神経外科も「総合診療科」的な面を備えています。症状がどこから来ているか分からない時に、脳を心配される方々が少なくないからと思います。
その際、どこの科が専門か、判断に迷う事も多いです。
踊れドクターでも、いくつもの鑑別診断を経た後に確定に至りましたが、日常診療では、診断に至らない事も少なくありません。プライマリーケアの難しさと重要性を感じています。
しかし、総合診療科は、御指摘の通り、何処に行けばいいのかと迷われている方々を入り口の段階で救う事は間違えないと思います。大切な科です。
あきちゃんで~す様
コメントありがとうございます。
以前、「隣の医局は外国より遠い。」と言われていました。しかし御指摘の通り、横のつながりは重要です。
山王病院では、一つの医局に、各科の先生がいて、連携が取りやすいです。山王病院の良い点と思います。