脳脊髄液減少症や水頭症など脳脊髄液循環障害を専門に診療を行っている高橋浩一の公式サイトです。

髄液循環

髄液循環

本日は看護の日、そして私の誕生日です。

話は変わり、髄液について私が考えている事を数回に分けて述べさせて頂きたいと思います。あくまで私見です。

脳脊髄液は脳脊髄の中で産生されて、吸収されます。

この脳脊髄液の循環に関して、主に脳内の脈絡叢という場所で髄液が作られ、脳のてっぺんにある上矢状洞付近のくも膜顆粒という場所から吸収されるといった説が、1920年代より定説となっています。

しかし、特に吸収部位に関しては、ここニ、三十年間、上矢状洞付近は主たる髄液の吸収路ではないとの報告が多くされています。

私も、アメリカでの留学中の研究を中心に、同様な事を考えています。

では、どこから吸収されているのでしょうか?

私自身は、頭のてっぺんでなく、頭蓋底部、つまり脳の下の方からの吸収経路は間違いなく存在すると考えています。

また脊髄からの吸収も重要と推察しています。

しかし、まだ、明確な回答はでていません。髄液循環に関する、益々の研究が必要と思います。

参考論文

安達一英,高橋浩一,澤本和延.脳脊髄液に関する基礎知識:産生,循環,吸収のメカニズム 脊椎脊髄ジャーナル 2006;19 (5): 329-333.

続く