啓蒙につながれば!
- 2009.12.07
- 脳脊髄液減少症
先日、関西地方で眼科をされている女性医師 A.K先生から御手紙を頂きました。
A.K先生はある日、ひどい起立性頭痛を自覚しました。
A.K先生が勤務している内科でMRIなど検査を受けたが異常を認めなかったとの事です。担当医が髄膜炎を疑い、腰椎穿刺を行いましたが、髄液所見も正常でした。ただし、髄液圧は4cm水柱と低髄液圧でした。
A.K先生御自身が、低髄液圧に関係した頭痛でないかと考え、担当医に強く申し出て、造影MRI、RI脳槽シンチを行い、脳脊髄液減少症の診断を得ました。そして、麻酔科の先生にブラッドパッチを施行頂いたそうです。
そのA.K氏からの御手紙です。
「私自身が今回のことでいろいろこの疾患について勉強し(主治医の先生と一緒に調べてきたという感じです・・・)、こんなにも苦しんでいる人がいるのかと驚きました。
今回、私が医学的知識があり、主治医も自分の病院の医師ということでなにかと検査をしていただきましたので早期に診断がつきましたが、こんな様子では、一般の人で診断に時間がかかるというのはとてもよくわかります。
しかも症状が軽いほうと思われる私でも、今まで経験したことのないような頭痛と倦怠感、吐き気を味わいました。
これを何カ月も体験していらっしゃる患者さまを思うと本当に苦しいだろうと考えさせられます。
私にできる限り、この疾患の啓蒙に努めていきたいと思います。
私は眼科ですが、思い出してみれば、交通事故後などに倦怠感と視力障害を訴えて来院されたような方もいらっしゃいました。
眼科的には異常がありませんでしたので、脳外科、内科で異常ないと言われているなら大丈夫!!と言って帰してしまったこともあります。
その人が、実際はどうだったかどうかはわかりませんが、知らないというのはこわいことだなぁと実感しております。」
脳脊髄液減少症の啓蒙につながる御手紙と想い、拝読させて頂きました。いかなる形でも、本症の認知度が上昇する事を望んでおりますので、A.K先生、今後ともよろしくお願い申し上げます。
同時にA.K先生の御快復をお祈り申し上げます。
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山田正雄GM 2009.12.08
先生こんばんは。
この記事を読んで、わたしは脳脊髄液減少症と診断されていなかった時の事を思い出しました。
一番最初は、眼科に行きました。
それから、耳鼻科、脳専門の病院、総合病院で検査もしても、正常で、心療内科で、うつ病と診断された事は、今でも忘れません。もちろん、当時は、精神的にまいっていた事は確かですが・・・(色々言われましたから)
早く保険が使えるようになればいいと思います。そして、、みんなが、元気になる事を願っています。
寒くなって、体調が少し悪いです。
先生、風邪などひかない様にお体に気をつけてくださいね。
yamaguchi様
コメントありがとうございます。
脳神経外科のみでなく他の分野の医師にも脳脊髄液減少症の認知が広がる事が大切と思います。
最近は、他の科の先生からも相談頂く事が増えてきており、確実に認知度が高まっていると思いますが、さらに啓蒙していかなくてはと思っております。
yamaguchi様もどうぞ、御自愛下さい。
高橋浩一 先生
私は、先生もご存じのように、脳脊髄液減少症の患者ではありません。そのような症状もありません。
だから、半年前までは、本症のことを、知りませんでした。本症を知ったきっかけは、高橋先生に「水頭症」の生徒のことをご質問したことでしたね。
でも、同じく「心臓病」ではありませんが、その症状がどんなものなのか、「黄疸」はどうして起きるのか…だったらある程度の知識はあります。
これが、「所見は別れる」とかではなく、「脳脊髄液減少症」をご存じない、若しくは、存在を認めようとしないDr…がいらっしゃっるとしたら、こんな恐ろしいことはないと思います。
本症の認知度が、その専門たる医学界において確立することは、全てに優先して達成されなければならない不可欠な課題だと思います。
あきちゃんで~す様
コメントありがとうございます。
脳脊髄液減少症を認めない!という医師はさすがに減ってきています。しかし、脳脊髄液減少症は稀である!という医師は、いまだに多く存在すると思います。
他の国では、さらに認知度が低いです。
日本は他の国々が認めた事は、追従する傾向があると思いますが、それを待たずに認知度を上げていかなくてはいけないのでは!と感じています。
ご無沙汰しております。
素晴らしいお話をお聞かせいただきありがとうございます。
この疾患はなった人にしか真の辛さは理解できないと思います。勿論、どんな病気にも同じことが言えるかもしれませんが。
だからこそ、経験者は伝えていくべきなのです。
そうした点でも、A.K先生のような心ある先生がおられる事をとても嬉しく思います。
この疾患は間違いなく存在します。
治療されている立場の方に関しても、やはり実際に治療して良くなった方を目の当たりにしているからこそ、治療を続けていけるのだと思います。
否定する先生方もおられますが、まずは自らが患者と向き合い、実際に治療していただきたいものです。完璧な医療などこの世には存在しません。上手くいかない例もあるでしょう。
ですが、実際に何例か治療し、患者が元気になっていく姿を見ると、必ずこの疾患が存在する事が分かると思います。
否定するのはそれからにして欲しいものです。
yuuki様
コメントありがとうございます。
yuuki様の仰るとおり、治療してよくなった方々を見る度に、脳脊髄液減少症の存在を強く感じます。
ブラッドパッチで良くなった方々は、自然の経過だ!と言う医師もいますが、病気に悩み、回復された方々を見れば、そのような事は言えないと思います。
実際に治療せずとも、紹介を頂き、ブラッドパッチにて状態を改善させて紹介元の医師に返すと、脳脊髄液減少症の存在を知って頂けます。
最近では、大学病院も含めて紹介患者様が増えつつあるのは、良い兆しと感じています。
高橋浩一先生
実は私、ちょうど自分が受傷して3ヵ月後にテレビで「脳脊髄液減少症」の特集を観ました。しかし、そのとき必死に耐えていた自分の激痛が、まさかこの病気によるものだとは思いもしませんでした。
なぜなら、「交通事故をきっかけに発症し、起立性の頭痛やめまいで起きていられない、ひどくなると歩くことも困難」という程度の理解であったため、自分は受傷機転と症状が全く違う(と思われる)から関係ないと思ったのです。
ですから、その約1ヵ月後に、整形外科の先生がこの病気を「疑って」くださったときは大変驚きましたし、かなりの衝撃を受けました。
山王病院を紹介していただき、受傷機転も症状も「典型的ではない」けれども検査を受けて確定診断が下り、それでもまだ半信半疑のままEBPを受けました。が。
それまで、硬膜外ブロック初めさまざまな神経ブロックや内服薬等々、あらゆる治療が著効しなかったのに、EBPのたびに不思議と症状が改善されていったのです。こうなると、やはり全ては脳脊髄液減少症によるものだったんだな・・・とあらためて確信できます。
そのような自分の体験から、できましたら先生には折を見て特異的な症例もご紹介いただけたらと願っております。より多くの潜在患者を顕在化させていくためにも・・・。
なお、EBPで症状が改善されてきて初めて、自分にも実に多彩な症状があったことを自覚するようになりました。どうも人間の脳は、ひとつの症状が激しく出ていると、他の症状には気付けなくなるようですね・・・・。
それでも私はいまだに、自分が頭痛を自覚していたかどうかは疑問なのです。私にとっては、「起立性疼痛」という表現のほうがピンときます。
ちなみに、整形外科の先生は、以前M先生から話を聞いてこの病気を知ったのだそうです。そのおかげで「疑って」くださって、自然に私を山王病院へと流してくださいました。当時の先生方の地道な啓蒙活動が私を救ってくれたのだ、と感謝せずにはいられません。
へびくま様
コメントありがとうございます。
脳脊髄液減少症は、一例一例、皆症状が異なります。
以前、起立性の腹痛という方もいました。
https://takahashik.com/csf/post-450/
「起立性疼痛」という感覚の方々も経験しました。
特異的な症例に関しては、過去にもブログでとりあげさせて頂いた事があります。
https://takahashik.com/csf/post-438/
https://takahashik.com/csf/post-418/
https://takahashik.com/csf/post-460/
今後も混乱を招かないように、情報を提供させて頂こうと思っております。