南国で第二の人生
- 2009.06.03
- 脳脊髄液減少症
K.Aさん(46歳、女性)。ある会社の社長でした。
3年前、軽い交通事故。その後から、頭痛、めまい、視機能障害、パニックなど出現し、都内のA病院に入院しました。
そこのA病院で、MRIや血液検査など施行しましたが、異常を指摘されませんでした。
K.Aさんは、精神神経科通院歴があった事もあり、A病院では精神疾患と診断されました。ただし、精神神経科は不眠症でかかったのみでした。
K.Aさんが、決して精神的なものでなく体調が、かつてなく不調であると説明すれば、するほど、精神疾患としてのレッテルが強くなったそうです。
K.Aさんから相談を受け、A病院の脳神経外科部長と相談させて頂いたのですが、その時に部長以下、担当医、看護部など全てのスタッフがK.Aさんを気がおかしいと見ていた雰囲気が強く感じられました。
事故以前は社長をされているような方ですから、強い精神疾患を患っていては、いかなる会社も運営する事はできないはずであり、私は経過、症状から脳脊髄液減少症を疑い、RI脳槽シンチを薦めました。
A病院で、RI脳槽シンチを施行して頂きました。結果は、髄液漏出像は認めなかったものの、しっかりとした膀胱内早期集積像を認めました。
しかしA病院では、これは正常と判断、抗精神薬が増えるのみでした。
受傷から約半年後、山王病院に転院、ブラッドパッチを施行すると、直ちに症状が軽快し、数週間の安静後、久しぶりに会社に復帰されました。
しかし、社長不在の間に会社の経営はひどい事になっており、会社建て直しに非常なストレスがかかったようです。 過剰なストレスから胃に穴があき、吐血されました。
そしてある日、K.Aさんが服薬自殺をされたとの情報が入りました。未遂に終わったのですが、あの時の衝撃は今も忘れません。
その数日後、K.Aさんから 「先生、ごめんなさい。せっかく私の体調を理解してくれ、病気も治してくれたのに・・・。でも、気持ちも落ち着いたので、会社の事は整理し、新たな事でがんばろうと思います。もう、このような事はしません。」 と、連絡を頂きました。
その後のK.Aさん。会社は何とか赤字を出さずにたたむ事ができたそうで、今は南国で、自分の好きな勉強をされ、次の人生につなげるべく頑張られています。
交通事故から、ここまで2年ほどの時間がありました。
まさに自らの命を絶つことまで考えた、辛い、辛い2年であったと思います。 闘病中は、一日、一秒がしんどいと思います。また、会社をたたむ事は、K.Aさんにとっては断腸の思いであったでしょう。
困難を克服し、新たな目標に向け頑張れているK.Aさん、さらに活躍される事を応援しています。
高橋先生、いつもブログを読ませていただいています。
唐突ですが、癒着対策についてお聞きしたいのですが。
私はBP3回を行いました。
3回目のBPで主治医の勧めにより自己血に加えてフィブロガミンPを胸椎上部と下部にあわせて1VIAL入れました。
ですがその後、低髄症状以上に激しい痛みが背骨を襲っています。腰痛、背部痛、頚部痛、と、背骨が固くなったような感覚です。おそらくは癒着だろうと思います。
主治医はモーラステープ、リザベン、プロレナールで我慢強く対応するしかないという意見なのですが、正直いってBP後半年たっても痛みは全くとれません。一日中激しい痛みをかかえて何も出来ません。
先生は癒着に対してはどのような治療をしていますか?
やはりメンタル面も重要でしょうか?
お手すきのときにお教えいただければ幸いです。
sato様
コメントありがとうございます。
非常に辛い症状、心境、察する事ができません。
パッチ後の背骨を中心とした痛みは、
①癒着
②高髄(低髄の逆)
③その他
が考えられます。メールのみからでは判断困難な部分もありますが、一般的には消炎鎮痛剤、リザベン投与などの対症療法が主体になります。
疼痛部位が比較的限局したいれば、トリガーブロックを行なう事もあります。
また、生食パッチで症状が軽快した症例も経験してますが、効果がなかった場合もあります。
体調・病状管理と同時にメンタルは重要と思います。また、御相談下さい。
お忙しい中、アドバイスありがとうございました。
主治医ともよく話し合ってみます。
お言葉に甘え、また、高橋先生に相談することがあるかもしれません。よろしくお願いします。
Sato様
どうぞ、御遠慮なく!頑張っていきましょう!