脳脊髄液減少症や水頭症など脳脊髄液循環障害を専門に診療を行っている高橋浩一の公式サイトです。

南国で第二の人生

南国で第二の人生
K.Aさん(46歳、女性)。ある会社の社長でした。

3年前、軽い交通事故。その後から、頭痛、めまい、視機能障害、パニックなど出現し、都内のA病院に入院しました。

そこのA病院で、MRIや血液検査など施行しましたが、異常を指摘されませんでした。

K.Aさんは、精神神経科通院歴があった事もあり、A病院では精神疾患と診断されました。ただし、精神神経科は不眠症でかかったのみでした。

K.Aさんが、決して精神的なものでなく体調が、かつてなく不調であると説明すれば、するほど、精神疾患としてのレッテルが強くなったそうです。

K.Aさんから相談を受け、A病院の脳神経外科部長と相談させて頂いたのですが、その時に部長以下、担当医、看護部など全てのスタッフがK.Aさんを気がおかしいと見ていた雰囲気が強く感じられました。

事故以前は社長をされているような方ですから、強い精神疾患を患っていては、いかなる会社も運営する事はできないはずであり、私は経過、症状から脳脊髄液減少症を疑い、RI脳槽シンチを薦めました。

A病院で、RI脳槽シンチを施行して頂きました。結果は、髄液漏出像は認めなかったものの、しっかりとした膀胱内早期集積像を認めました。

しかしA病院では、これは正常と判断、抗精神薬が増えるのみでした。

受傷から約半年後、山王病院に転院、ブラッドパッチを施行すると、直ちに症状が軽快し、数週間の安静後、久しぶりに会社に復帰されました。

しかし、社長不在の間に会社の経営はひどい事になっており、会社建て直しに非常なストレスがかかったようです。 過剰なストレスから胃に穴があき、吐血されました。

そしてある日、K.Aさんが服薬自殺をされたとの情報が入りました。未遂に終わったのですが、あの時の衝撃は今も忘れません。

その数日後、K.Aさんから 「先生、ごめんなさい。せっかく私の体調を理解してくれ、病気も治してくれたのに・・・。でも、気持ちも落ち着いたので、会社の事は整理し、新たな事でがんばろうと思います。もう、このような事はしません。」 と、連絡を頂きました。

その後のK.Aさん。会社は何とか赤字を出さずにたたむ事ができたそうで、今は南国で、自分の好きな勉強をされ、次の人生につなげるべく頑張られています。

交通事故から、ここまで2年ほどの時間がありました。

まさに自らの命を絶つことまで考えた、辛い、辛い2年であったと思います。 闘病中は、一日、一秒がしんどいと思います。また、会社をたたむ事は、K.Aさんにとっては断腸の思いであったでしょう。

困難を克服し、新たな目標に向け頑張れているK.Aさん、さらに活躍される事を応援しています。

http://www.youtube.com/watch?v=kG_0LZD6W5w