診断の名称について
- 2015.02.11
- 脳脊髄液減少症

脳脊髄液減少症、低髄、脳脊・・・
診断名について、様々な呼称が唱えられています。
現在では特発性低髄液圧症候群、脳脊髄液減少症、脳脊髄液漏出症が、主に使用されています。
特発性低髄液圧症候群と脳脊髄液減少症は、治療法はともにブラッドパッチですが、病態が異なるため、区別して捉えるべきと考えています。
平成24年に厚生労働省研究班は、脳脊髄液の量の測定は困難であるが、漏出を捉える事は可能であるため、脳脊髄液漏出症画像判定基準を発表し、同基準を満たした症例は脳脊髄液漏出症と診断するとしました。
脳脊髄液減少症の一部が脳脊髄液漏出症であると考えています。
それぞれの特徴をまとめると
特発性低髄液圧症候群:
- 症状として起立性の頭痛が顕著である。
- 頭部MRIによる「びまん性硬膜造影像」をはじめ、RI脳槽シンチやCTミエロ、MRミエロで髄液漏出像や硬膜外液体貯留像など陽性所見を認める場合が多い。
- 髄液圧は、低圧の場合が多い。
- 原因は不明、もしくは軽微な外傷の場合が多い。
- 治療予後が良好である。
- 慢性硬膜下血腫の合併が少なくない。
脳脊髄液減少症、脳脊髄液漏出症:
- 起立性の頭痛が典型的でなく、めまい、嘔気、耳鳴り、倦怠感など他の不定愁訴を伴う場合が多い。
- 頭部MRI、RI脳槽シンチやCTミエロ、MRミエロにて特徴的な所見を呈する場合が多くない。
- 髄液圧は正常圧の場合が多い。
- 原因不明、もしくは交通外傷など強い衝撃が原因の場合が多い。
- 治療予後は改善率約75%。
現在、山王病院では、全国から多くの初診希望者がいるため、初診予約制限などで多大なご迷惑をお掛けしています。
ただ特発性低髄液圧症候群、特に慢性硬膜下血腫合併例に関しては、時に救急処置を要します。
情報提供書を添えた上で、山王病院に連絡を頂けた場合には、早期の診察を考慮させて頂きます。
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週刊女性 2015.02.17
高橋浩一 先生
今日・明日の両日、当地は、公立高校の入試です。生徒たちには「15の春」をしっかりつかんで欲しいと願っています。
>現在、山王病院では、全国から多くの初診希望者がいるため、初診予約制限などで多大なご迷惑をお掛けしています。
脳せき髄液減少症のような、実際の診療科が少ない疾病はしょうがないにしても、今、大学病院などの大病院の「診療待ち時間」が大きな社会問題になっていますよね。
職場で、生徒の不登校で、公立病院の思春期外来を予約しようとしたら、「早くて半年先」と言われて、あきらめてしまった保護者がいました。
外国の事情に詳しくはないのですが、イギリスでは、「ホームドクター」の診察を経ないで大病院の診察を受けることはできないというのを聞いたことがあります。
その辺の制度を日本でも整えていかないと、本当に必要な人が必要な時に必要な治療が受けられなくなってしまいます。
もちろん、病院を「選択する権利」は患者側にあるのですが、そこに何らかの優先順位があってしかるべきだと考えます。
すくなくても、大病院が、「老人ホームの談話室」のようになってはいけないといけないと思うのですが、高橋先生のDrとしてのご意見を伺えれば幸いです。
あきちゃんで~す様
コメント、ならびに御質問ありがとうございます。
医療の専門化、細分化といった点が、「診療待ち時間」に大きな影響を与えているかと思います。
あとは近年の情報化社会で、一極集中のような事が生じているとも思います。
いずれにしても問題だと思うのですが、超スペシャリストの負担を増やすのは問題ですので、超スペシャリストを増やすか、ジェネラリストがカバーするか・・
今、日本医療に言われている偏在化とも絡むかと思います。
ただ、基本的には日本の医療は国民皆保険制度を含めて、世界で最も恵まれた環境かと思います。
初めまして
私は昨年12月6日に玉突き衝突事故をされてしまいました。体調不良の内容を主治医に伝えましたら脳脊髄液減少症の疑いがあるとのことで高橋先生へ予約を入れました。
2月始めくらいから顔のむくみが出始めました。浮腫んでいる~から今はひどく腫れ上がり人に会うことが恥ずかしいくらいです。普段吹き出物は全く無いのですが、今は腫れと同時に赤くぽつぽつと湿疹のようなできものも沢山出てきました。これは私の病気が脳脊髄減少症だとしたならば関係のある症状でしょうか?それとも3月に高橋先生にお会いするまでに近隣の病院を受診した方が宜しいでしょうか?そしてそれは何科を受診したら宜しいでしょうか?
ちなみに昨年11月に市の健康診断をしましたがその血液検査の結果に悪い箇所はありませんでした。
宜しくお願い致します。
ちぃ様
コメントありがとうございます。
浮腫に関しては、まずは低栄養や腎障害などの病的な状態がない事を確認すべきです。
ただし、こういった異常が無く手足がむくむといった症状を訴える脳脊髄液減少症の方々はいます。機序は不明です。
皮膚の異常は脳脊髄液減少症直接というより、様々な体調不良やストレスが皮膚に影響を与えていると考えます。
【お知らせ】
高橋浩一 先生
みなさま
ちょっと早朝なのですが、NHKラジオ第一で、朝5:30~
東京慈恵医大 浦島充佳 教授の「疫学で考える健康な食事」
の再放送が始まりました。
たぶん、今日から三日間だと思います。
お知らせまで。
あきちゃんで~す様
貴重な情報をありがとうございます。
何とか聴いてみなくては・・・