脳脊髄液減少症や水頭症など脳脊髄液循環障害を専門に診療を行っている高橋浩一の公式サイトです。

MRIで、脳脊髄液減少症の診断は可能か?

MRIで、脳脊髄液減少症の診断は可能か?

脳脊髄液減少症、低髄液圧症候群に対する診断、特にMRIに関する研究は進んでいます。

MRミエログラフィー(MRミエロ)、T2脂肪抑制画像で

・硬膜が浮いたように写るFloating dural sac sing (FDSS)

・福山医療センター、守山英二先生提唱の、硬膜の背側、三角形に写るFringed epidural space sign (FESS)

・恐竜の背びれのような Dinosaur Tail Sign

など、近年、新たな知見が出ています。

以下の論文でもMRIの有用性を報告しています。

高橋 浩一 

脳脊髄液動態の臨床トピックス1:髄液減少症からみた髄液の動態と機能 

日本頭痛学会誌 46:103-110, 2019

ただ現状、正常例と異常例との検討など課題が残されております。

また、MRIのみで、正常、異常の鑑別は非常に難しいと考えています。

特にMRIで正常と判断されても、いろいろな精査を進めていくと、脳脊髄液減少症と診断されることが決して稀でありません。

そのため脳脊髄液減少症診療をしていて、診断の難しさを何度も何度も痛感しています。

将来的には、腰椎穿刺を要さずに診断できるMRIが主流となる可能性は十分にありますが、現状は、まだその域に達していません。

なので、MRIで脳脊髄液減少症に特徴的な所見を呈さないことだけでは、脳脊髄液減少症を否定できないと考えています。