歩行障害を呈した脳脊髄液減少症
- 2020.02.29
- 脳脊髄液減少症
第19回 日本脳脊髄液減少症研究会
「歩行障害、平衡機能障害を呈した脳脊髄液減少症の2例」
の演題で、発表させて頂きました。
発表させて頂いた2例は、ともに教科書に載っていない平衡機能障害で、精神疾患と間違われてもおかしくないような症状です。
実際、一例は神経専門病院での精査にて、「心因性」が診断として最も考えられました。ともにブラッドパッチ、続いてリハビリテーションにて症状は改善傾向です。
脳脊髄液減少症の診断は、いつも難しいと常々思ってしまいます。
同演題の抄録考察以下を示します。
【考案】平衡機能障害、歩行障害は、脳脊髄液減少症では時々遭遇する症状である。しかし、これら症状が強固で日常生活に支障を来す場合、頭痛が目立たなく、脳脊髄液減少症としては典型的でないと判断されがちである。神経領域、耳鼻科領域で明らかな異常を認めない場合は、心因反応など、精神的問題と判断される場合もある。しかし、今回提示した2症例のように、ブラッドパッチが効果を示す場合があるため、強い平衡機能障害、歩行障害が主訴であっても、原因が明らかでない場合は脳脊髄液減少症を鑑別として考えるべきである。平衡機能障害、歩行障害の原因は明らかでないが、視床下部症候群としての視床下部外側核や坑重力筋による姿勢反射や起立保持の中枢である脚橋被蓋核の構造異常が影響を及ぼすかもしれない。今後も症例の蓄積とともに検討を要する病態と考えた。
【結論】強固な歩行障害、平衡機能障害を呈した脳脊髄液減少症の2例を報告した。強い平衡機能障害、歩行障害が主訴であっても、原因が明らかでない場合は脳脊髄液減少症を鑑別として考えるべきである。
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