脳脊髄液減少症の歴史 その6
- 2020.12.27
- 脳脊髄液減少症
脳脊髄液減少症の歴史その4
脳脊髄液減少症の歴史 その4 │ 山王病院脳神経外科・Dr.高橋浩一 (takahashik.com)
でも述べましたが、髄液は脈絡叢で産生され、上矢状洞付近のくも膜顆粒から吸収されるという考えが、現在も多くの教科書に記載されています。
しかし、1970年代頃より、通説に関して、懐疑的な考えが出始めました。
私の留学中の師、McComb大先生は、
大先生 │ 山王病院脳神経外科・Dr.高橋浩一 (takahashik.com)
1970年代に、うさぎを使用した実験で、脳室内、または、くも膜下腔に特殊なアルブミンを投与し、上矢状洞から採取した血液と動脈血中の特殊なアルブミン濃度を計測しました。
上矢状洞が主な吸収路なら上矢状洞から採取した血液で、特殊なアルブミン濃度が高くなるはずですが、結果は、両者とも同程度の濃度が検出されました。そのため、少なくとも上矢状洞は、髄液の主な吸収路でないと結論しました。
1990年代になると、三浦真弘先生が、脊髄硬膜外リンパ系を介する髄液吸収経路について報告され,くも膜顆粒を吸収首座とする従来の古典学説には修正が必要な時期が来ていると考えられるようになっています。
続く
参考文献
髄液無産生症(Shaltenbrand):忘れ去られた病態生理
田村直俊、光藤尚、中里良彦、山元俊正、荒木信夫
神経内科2012
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