脳脊髄液減少症や水頭症など脳脊髄液循環障害を専門に診療を行っている高橋浩一の公式サイトです。

脳脊髄液減少症の歴史 その7

脳脊髄液減少症の歴史 その7

Shaltenbrandが髄液無産生症という疾患を提唱して以降、脳脊髄液減少症に関して、報告がほとんど見られなくなりました。 

1990年にMokriが、起立性頭痛を主訴として、頭部MRIにて、「びまん性硬膜造影像」など特徴的な画像所見を呈する、特発性低髄液圧症候群が報告しました。

そして特発性低髄液圧症候群に対して、RI脳槽シンチが施行され、脊髄レベルにて髄液漏出像と言われる所見を認めました。

それ以降、特発性低髄液圧症候群の報告が多く認められるようになり、同時に脊髄レベルでの髄液吸収経路が注目されてきます。

Mokriが報告した症例の多くが、髄液圧が非常に低く、本症の病態は脊髄レベルでの髄液漏出による「低髄液圧」と考えられました。

続く

参考文献

髄液無産生症(Shaltenbrand):忘れ去られた病態生理

田村直俊、光藤尚、中里良彦、山元俊正、荒木信夫

神経内科2012