脳脊髄液減少症や水頭症など脳脊髄液循環障害を専門に診療を行っている高橋浩一の公式サイトです。

脳脊髄液減少症の歴史 その11

脳脊髄液減少症の歴史 その11

「脳脊髄液減少症の診断・治療の確立関する研究」

が立ち上がって以降も、脳脊髄液減少症を巡り、非常に辛い状況が続きます。

ブラッドパッチを行うと、保険医資格を停止する!とプレッシャーがかけられた先生方もいたそうです。

平成18年、私が山王病院に赴任し、脳脊髄液減少症診療をはじめた時には、何人かの先輩医師から、「脳脊髄液減少症の診療はやめろ!」と言われました。

このような状況でも、当時の山王病院部長、美馬達夫先生は、黙々と自費診療にてブラッドパッチを行い、その背中を追うように、私も診療を続けて行きました。

また脳脊髄液減少症研究会は、脳脊髄液減少症診療の火を消さないよう、毎年行われ、診断、治療成績向上に向け、多くの活発な討論がなされました。 

第8回脳脊髄液減少症研究会で、篠永正道先生は、

「私が、難治性の鞭打ち症にブラッドパッチが有効と考えてから、ちょうど10年が経過します。

当初は、私の意見に賛同してくれる方々は皆無で、数年のうちに、この治療法も消えてしまうのではないか!と、考えた事もありましたが、年々、本研究会の参加者が増え、脳脊髄液減少症の治療が進歩し、認知度が上がってきている事は、非常に嬉しいことであります。」

と述べられました。

脳脊髄液減少症を巡る厳しい状況を何とか打破し、ブラッドパッチの保険適用という目標のため、力を合わせる脳脊髄液減少症研究会所属先生方々がいました。

そして、脳脊髄液減少症の早期の保険適用を求め、診療に関して厚生労働省に要望を行う事を決定します。

第8回 脳脊髄液減少症研究会 │ 山王病院脳神経外科・Dr.高橋浩一 (takahashik.com)

続く

参考文献

髄液無産生症(Shaltenbrand):忘れ去られた病態生理

田村直俊、光藤尚、中里良彦、山元俊正、荒木信夫

神経内科2012