脳脊髄液減少症の歴史 その11
- 2021.06.27
- 脳脊髄液減少症

「脳脊髄液減少症の診断・治療の確立関する研究」
が立ち上がって以降も、脳脊髄液減少症を巡り、非常に辛い状況が続きます。
ブラッドパッチを行うと、保険医資格を停止する!とプレッシャーがかけられた先生方もいたそうです。
平成18年、私が山王病院に赴任し、脳脊髄液減少症診療をはじめた時には、何人かの先輩医師から、「脳脊髄液減少症の診療はやめろ!」と言われました。
このような状況でも、当時の山王病院部長、美馬達夫先生は、黙々と自費診療にてブラッドパッチを行い、その背中を追うように、私も診療を続けて行きました。
また脳脊髄液減少症研究会は、脳脊髄液減少症診療の火を消さないよう、毎年行われ、診断、治療成績向上に向け、多くの活発な討論がなされました。
第8回脳脊髄液減少症研究会で、篠永正道先生は、
「私が、難治性の鞭打ち症にブラッドパッチが有効と考えてから、ちょうど10年が経過します。
当初は、私の意見に賛同してくれる方々は皆無で、数年のうちに、この治療法も消えてしまうのではないか!と、考えた事もありましたが、年々、本研究会の参加者が増え、脳脊髄液減少症の治療が進歩し、認知度が上がってきている事は、非常に嬉しいことであります。」
と述べられました。
脳脊髄液減少症を巡る厳しい状況を何とか打破し、ブラッドパッチの保険適用という目標のため、力を合わせる脳脊髄液減少症研究会所属先生方々がいました。
そして、脳脊髄液減少症の早期の保険適用を求め、診療に関して厚生労働省に要望を行う事を決定します。
第8回 脳脊髄液減少症研究会 │ 山王病院脳神経外科・Dr.高橋浩一 (takahashik.com)
続く
参考文献
髄液無産生症(Shaltenbrand):忘れ去られた病態生理
田村直俊、光藤尚、中里良彦、山元俊正、荒木信夫
神経内科2012
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