脳脊髄液減少症や水頭症など脳脊髄液循環障害を専門に診療を行っている高橋浩一の公式サイトです。

脳脊髄液減少症の歴史 その14

脳脊髄液減少症の歴史 その14

ブラッドパッチが先進医療の適用となったことは、脳脊髄液減少症診療において、大きな前進で、ブラッドパッチを行うことに対しての、プレッシャーが少なくなりました。

慢性硬膜下血腫合併の低髄液圧症候群に対して、ブラッドパッチを先行した方が、治療は安全にできるとの知見が高まっていましたが、先進医療適用前の状況では、ブラッドパッチと慢性硬膜下血腫の手術を同時に行うと、混合診療が認められないため、手術も自由診療となりました。

それを避けるため、山王病院でブラッドパッチを行い、直後に近隣の病院に転送して手術を受けた症例もありました。

このような治療方針検討には大きな障害が、たびたびありました。

それが、ブラッドパッチ先進医療適用後には、そのような気遣いは不要となり、ブラッドパッチと手術を同時に行うことへのハードルが大きく下がりました。

それから、この期間に行われたブラッドパッチの有効性、安全性などをまとめ、いよいよ、保険適用に向けて動いていくことになります。

続く

参考文献

髄液無産生症(Shaltenbrand):忘れ去られた病態生理

田村直俊、光藤尚、中里良彦、山元俊正、荒木信夫

神経内科2012