慢性硬膜下血腫と低髄液圧症候群
- 2014.02.11
- 脳脊髄液減少症

脳脊髄液減少症のうちの狭義の特発性低髄液圧症候群
に慢性硬膜下血腫を合併する事は良くあります。
文献では、特発性低髄液圧症候群の15-40%に慢性硬膜下血腫を合併すると報告されています。
山王病院では、約30%が特発性低髄液圧症候群に対して、慢性硬膜下血腫を合併しています。
治療方針としては、保存的経過観察で約1/4の症例が軽快していますので、まずは安静+水分補給といった保存的治療を試みるべきでしょう。
保存的治療で改善しない場合、もしくは早期の回復を期待する場合は、ブラッドパッチを先行すべきと考えています。
ブラッドパッチ施行後、2/3 の症例は、他の治療を要せずに治癒しますが、1/3の症例では慢性硬膜下血腫に対して手術を要します。
慢性硬膜下血腫に対して手術を先行した場合、治療が複数回数に及ぶ傾向があり、また重篤な合併症を生じる場合もあります。死亡例も国内外から報告されています。
なので、特発性低髄液圧症候群に慢性硬膜下血腫を合併した症例は、速やかな診断が必要であり、血腫が増大する前にブラッドパッチなど治療をすれば、良好な治療成績を得られると考えています。
現在、山王病院では、全国から多くの初診希望者がいるため、初診予約制限などで多大なご迷惑をお掛けしています。
ただ慢性硬膜下血腫合併の特発性低髄液圧症候群に関しては、時に救急処置を要します。情報提供書を添えた上で、山王病院に連絡を頂けた場合には、早期の診察を考慮させて頂きます。
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高橋 浩一 先生
慢性硬膜下血腫の病態についいてよく理解できなかったので、日本脳神経外科学会のHPを読ませていただきました。
http://square.umin.ac.jp/neuroinf/medical/307.html
このような情報発信を、各学会がするということは、とても重要と思います。
脳脊髄液減少症についても、ますますアナウンスが広がっていくことを期待しております。
あきちゃんで~す様
コメントありがとうございます。
日本脳神経外科学会発表の慢性硬膜下血腫は、広く知られている病態です。教科書に載っているレベルです。
このごく一部が低髄液圧症候群に伴うものです。
はじめまして、メールにて失礼致します。
私は43歳です。
医療関係しておりますが
自分が発症するまで、この病気のこと全く知りませんでした。かつ、周りのスタッフ、当先生もネットで調べたくらいです。もっと、認知されること願います。
知らないため、解雇されたりもありそうで色んな不安がたくさんある病気ですね。
今年の3月に起きると激痛の頭痛、ふらつき眼痛、顔面痛、頸部痛ほかにも、多様な症状などあり、三日後に脳外科にて頭部MRIしましたが、痛み止めのみでした。異常がないため、耳鳴りもあったので耳鼻科へ受診し、難聴ありで、突発性難聴→メニエールと1か月以上治療しました。そこで、アデホス、イソバイド 、メチコバール処方ありました。発症から1か月半再度頭部MRIにて、硬膜下血腫、特発性の脳脊髄液漏出疑いとなりました。この頃には、頭痛や、顔面痛など少し軽減しており、痛いけど歩くことなど頑張って出来ておりましたが、少し記憶障害みたいなことも起こっておりました。医大へ紹介され、1か月仕事休み、自宅安静となっております。
激痛ながら、うなだれてながら、仕事し続けてしまったのが硬膜下血腫発症させた可能性はないのでしょうか?
それとも、イソバイド が、慢性硬膜下血腫を、誘発させることとかはないのでしょうか?脳圧降下作用にて服用しない方がいいとかあったのでしょうか?
私は今は、自宅安静にて1か月経過した頃で難聴耳鳴りも回復してもう服用はしておりません。耳鼻科の先生もこの病気知らない方多いのですね。トータル2ヶ月イソバイド 服用しました。
今は自宅安静終わり、今週には、検査して結果にて今から治療方針が、決まる段階だと思います。
先生のご活躍のおかげで、情報を得ることもでき、
認知もされ、大変感謝しております。
メールにて長文失礼致しました。
つな様
コメントありがとうございます。
どのような要因が慢性硬膜下血腫を併発させるのかは、まだ定かではありません。
ただ低髄液圧症候群の診断症例に対しては、頭蓋内圧降下は行わないようにしています。ご回復を心よりお祈り申し上げます。