脳脊髄液減少症や水頭症など脳脊髄液循環障害を専門に診療を行っている高橋浩一の公式サイトです。

慢性硬膜下血腫と低髄液圧症候群

慢性硬膜下血腫と低髄液圧症候群

脳脊髄液減少症のうちの狭義の特発性低髄液圧症候群

に慢性硬膜下血腫を合併する事は良くあります。

文献では、特発性低髄液圧症候群の15-40%に慢性硬膜下血腫を合併すると報告されています。

山王病院では、約30%が特発性低髄液圧症候群に対して、慢性硬膜下血腫を合併しています。

治療方針としては、保存的経過観察で約1/4の症例が軽快していますので、まずは安静+水分補給といった保存的治療を試みるべきでしょう。

保存的治療で改善しない場合、もしくは早期の回復を期待する場合は、ブラッドパッチを先行すべきと考えています。

ブラッドパッチ施行後、2/3 の症例は、他の治療を要せずに治癒しますが、1/3の症例では慢性硬膜下血腫に対して手術を要します。

慢性硬膜下血腫に対して手術を先行した場合、治療が複数回数に及ぶ傾向があり、また重篤な合併症を生じる場合もあります。死亡例も国内外から報告されています。

なので、特発性低髄液圧症候群に慢性硬膜下血腫を合併した症例は、速やかな診断が必要であり、血腫が増大する前にブラッドパッチなど治療をすれば、良好な治療成績を得られると考えています。

現在、山王病院では、全国から多くの初診希望者がいるため、初診予約制限などで多大なご迷惑をお掛けしています。

ただ慢性硬膜下血腫合併の特発性低髄液圧症候群に関しては、時に救急処置を要します。情報提供書を添えた上で、山王病院に連絡を頂けた場合には、早期の診察を考慮させて頂きます。