脳脊髄液減少症や水頭症など脳脊髄液循環障害を専門に診療を行っている高橋浩一の公式サイトです。

ブラッドパッチの保険適用は必須である!

ブラッドパッチの保険適用は必須である!

低髄液圧症候群は、時に重篤化する症例があります。特に慢性硬膜下血腫合併例では、保存的治療、手術のみでは治療に限界がある症例を経験してきましたし、様々な病院からも紹介をきました。

当院では現在の所、ほとんどの方が回復され、重篤化した症例はありません。

したがって低髄液圧症候群は、慢性硬膜下血腫を合併していても、ブラッドパッチを含め、適切に治療されれば、予後良好と考えられています。

しかし昨年、国内から救命しえなかった重症特発性低髄液圧症候群の1例が報告されました。また、海外からも、死亡例、重篤化例が報告されており、低髄液圧症候群に対しては、保存的治療や手術のみでは限界があり、ブラッドパッチが必須となる症例が間違いなく存在します。

またブラッドパッチが保険適用になっていないがゆえ、低髄液圧症候群に対してブラッドパッチを施行しない病院が、大学病院レベルでも存在しています。  

大学病院レベルの病院で、診断は受けたものの、「当院ではブラッドパッチができない」との理由で、山王病院への紹介状が渡され、当院受診の予約を待っている間に状態が悪化し、重篤化しそうな症例も経験しました。この例は、間一髪、ブラッドパッチ、手術を受け元気にされていますが、受診までの時間が、もう少し遅れていたらと考えると、ゾッとします。

本症が生活の質低下を来し得る事も問題ですが、生命にまで影響し得る疾患である事を認識すべきと考えます。

この観点からも、ブラッドパッチの早期保険適用を望みます。