脳脊髄液減少症や水頭症など脳脊髄液循環障害を専門に診療を行っている高橋浩一の公式サイトです。

突発性正常圧水頭症について

突発性正常圧水頭症について

治る認知症、治る歩行障害として、注目されつつある疾患です。本症は、高齢者に好発し、痴呆、歩行障害、尿失禁などを呈します。先行疾患がなく、ゆっくり進んでいく病気です。

特発性正常圧水頭症の病態は、脳脊髄液の循環障害により、脳室に髄液が過剰にたまることにより生じます。歩行障害で発症する事が多く、歩幅が狭くなる、一歩目を踏み出せなくなる、足が上がらずにすり足になってしまうなどの特徴があります。

本症の場合、髄液を脳室外に流しだすことで、障害された脳の機能を戻す手術、髄液シャント術により、歩行障害の改善率は90%以上、認知症、尿失禁の改善率は50%前後といわれています。

現在、特発性正常圧水頭症は認知症患者の5%を占めているといわれています。しかし本症はまだ認知度が低く、脳萎縮や脳梗塞などと診断され、治療が施されない症例も散見します。中高齢者の原因不明の歩行障害、認知症、尿失禁のいずれか、またはその組み合わせの症状がみられたら、年齢のせいとあきらめないで、特発性正常圧水頭症を疑ってみることをお薦めします。

症例

75歳女性。某年2月、歩行障害が出現、徐々に進行し、自力での起立が不能となった。さらに尿失禁、痴呆が出現した。数ヵ所の病院を受診したが、年齢の影響と診断され、半年程、経過観察されていた。

家族が、これらの症状は水頭症でないかと疑い、当時私の所属していた病院を受診、特発性水頭症の診断で手術を施行した。術後、歩行障害、尿失禁、痴呆は改善し、経過良好にて退院した。
(本症例のご提示においては患者様ご家族の了解を得ております)

手術前後の様子を以下の動画でご覧いただけます。音が出ますのでご注意ください。

■手術前


■手術後