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五苓散の薬理作用

五苓散の薬理作用

第17回日本脳脊髄液減少症研究会

http://www.csfh17.com/

東京理科大学薬学部 応用薬理学教室の磯濱洋一郎先生より

「五苓散の薬理作用とアクアポリンの密接な関係」

という非常に興味深い講演を頂きました。

以前、第23回日本脳神経外科漢方医学会にて

「脳脊髄液減少症症例に対する漢方治療 -特に利水剤 (五苓散) についてー」の演題名で発表させて頂いたことがありますが、

磯濱先生は、作用機序について、薬理学的に研究された内容についてのご講演でした。

五苓散は、利水剤として知られている漢方です。

利水とは、体外への水分排出の促進を意味し、利尿とは異なります。

脱水状態の時でも利尿剤は、尿を作ろうとしますが、五苓散は、脱水状態には水を体外に出そうとしない優れものです。

いわば、体内の水分偏在の是正と述べられました。

磯濱先生は五苓散の、特に水チャンネルとして知られるアクアポリンについて研究され、

  • 髄液分泌には影響せずに、髄液吸収を抑制する。
  • 内耳に働きかけ、めまいを抑制する。
  • 移動性低気圧に伴う血管周辺の浮腫形成を抑制することで、脳脊髄液減少症の頭痛を抑制する。

とうい可能性について言及されました。

五苓散が二日酔いに効果的であるという話とは次元が異なり、とても崇高な講演でした。研究会でも熱い質問が相次ぎ、とても盛り上がりました。

五苓散の効果を薬理的に示して頂いたことで、これからの診療に役立つ情報を得た想いです!