脳脊髄液減少症や水頭症など脳脊髄液循環障害を専門に診療を行っている高橋浩一の公式サイトです。

脳脊髄液減少症の温故知新

脳脊髄液減少症の温故知新

第17回日本脳脊髄液減少症研究会

http://www.csfh17.com/

埼玉医科大学神経内科 田村直俊教授より

「脳脊髄液減少症の温故知新 Scaltenbrandの業績を中心に」

という、非常に興味深いご講演を頂きました。

Scaltenbrandは、第17回日本脳脊髄液減少症研究会のポスターに掲載されている写真の偉大な先生です。

Scaltenbrandは、1938年に髄液漏出を伴わない特発性髄液減少症を報告し、その原因は、自律神経機能異常による髄液産生低下であると主張されました。

この説は、すべての脳脊髄液減少症病態に対して、当てはまるのではないと思いますが、近年、交感神経刺激で髄液産生が減少することが指摘されています。

交感神経機能亢進を示す体位性頻脈症候群と脳脊髄液減少症が同一個体に共存する症例の存在は、髄液減少の代償性に生じるはずの髄液産生が十分に起きていない可能性があります。

この病態は、Scaltenbrandの見解に従っていると考えて良いでしょう。

今から80年も前に、このような考えを発表されたScaltenbrand先生、偉大過ぎると感じさせて頂いた講演でした。