脳脊髄液減少症を経て看護を振り返る
第15回脳脊髄液減少症研究会
日本保健医療大学 小林喜美江さんより
「脳脊髄液減少症を経て看護を振り返る ―患者が求める看護とは―」
という貴重な御発表を頂きました。
看護師である小林喜美江さんは、訪問看護業務中の車接触事故により、脳脊髄液減少症を患いました。
脳脊髄液減少症の診断までに5 ヶ所の病院を受診し、約9 ヶ月後にブラッドパッチを受けましたが、看護教員への転職を余儀なくされました。
小林さんが自らの経験から感じた、
脳脊髄液減少症診断までに提供された良い看護、患者のためになる言葉
- 責任を持って手筈を整える。
- お身体 辛いですよね。
- お待たせして、すみません。
- 情報提供の準備を進めていますので、もうしばらくお待ちください。
- 羞明があるのですよね。ご自分で照明の調整お願いできますか。
- 教えてくださって、ありがとうございました。
- 患者さんから勉強させていただいています。
- 良かったですね。
- 日常生活に問題が無いのであれば、経験を生かしてください。お願いします。
- 病気と向き合うのは、患者さんも家族も大変なんですね。(学生)
- 交通事故に遭って先生は大変だったと思うけど、先生がこうして看護を教えてくれて私たちは幸せです。でも、辛い時は無理しないで欲しいです。
- 患者さんと接している時、いつも生き生きしていますよ。(学生)
脳脊髄液減少症診断までに提供された悪い看護、患者のためにならない言葉
- 本当に痛いんだか 辛いんだか?
- 精神的なこと なんじゃないの?
- そんなんだから、ダメなんだ。
- なに ふざけてるの、わざと?
- 病院内でサングラスかけられると困る。(Ns集まってこちらを見る)
- そんなことありえるの?(笑)
- あそこの病院 労災好きらしいよ。きちんと診察されているのか。
- そんなの一部の医者が、言ってることなんでしょう。
- そうなんだぁ。知らない。
- わからないので、自分でもう一度あちらでもお話ししてもらっていいですか?
- 全部資料を持っていく患者なんて見たことない。2枚どうしても合わないけどどうぞ。
- 先生休みなんだよね。連絡忘れてた。受診は次にしてもらって、帰ってもらえるかなぁ。
- 無視
良い事も悪い事もあった脳脊髄液減少症克服経験から、小林さんは
「看護師はフロレンス・ナイチンゲールの「看護師の手中に委ねられる」ことを念頭に,看護技術をもって心身を観察することや,真実の経験を積み重ね使命感をもって信頼のおける看護の提供を成すことを,患者が望んでいると認識して実践する必要がある」
と結論されました。
脳脊髄液減少症患者への対応や姿勢など非常に参考になる御発表でした。
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高橋浩一 先生
私も会場で聞いていて、思わず耳を塞ぎたくなる言葉がけの数々でした。
看護職にある方なので、こういう場で発表する機械もありますが、ただの患者さまだったら…。
貴研究会が、一般の方にも門戸が開かれていることのメリットが発揮されたご発表だったと感じました。
高橋浩一 先生
貴研究会は、聴講者だけでなく、発表者も一般に門戸が開かれていることが大きなメリットになっていると思います。
小林先生や他に慶応の先生も患者として発表されていましたね。
Dr.ばかりでなく、心づよい理解者がいることは、他の患者様たちにも大きな支えになることでしょう。
あきちゃんで~す様
コメントありがとうございます。
医師以外の方々からの発表は、非常に貴重であったと思います。診療以外の時間が圧倒的に多いので、家族や看護師といった方々のサポートも重要と考えています。
初めて投稿させて頂きます。
今年度の脳脊髄液減少症研究会に参加させて頂き、非常に多くの学びを得ることができ、とても嬉しく思います。
ありがとうございました。
私も看護師なのですが、この病気を発症し、この病を初めて知りました。私の住む地域ではまだまだ認知度が低く、看護においては、看護師も手探り状態で、十分な看護を受けられない状態にあります。長期に渡る安静や理解されにくい全身の症状の出現、先の見えない不安等、精神的ストレスの大きなこの病において、看護師の役割は大きいと実感致しました。様々な先生方の発表を伺い、高橋先先もおっしゃっていた、太陽の光に当たる時間を設けてみることや、ガムを噛んでセロトニンを増やす試みをすること等、看護として広げていきたいと思います。回復を促す質の高い看護を提供できるよう、頑張りたいと思います。ありがとうございました。
ナイチンゲール様
コメントありがとうございます。
また研究会御参加、感謝です。
問題点に対していかに対応していくか、少しずつでも理解を得ていければと思います。
高橋浩一先生
治療や、再出発の後押しをしてくださったにもかかわらず、脳脊髄液減少症に関わる皆様の前で、発表機会を頂いただけでも光栄でした。
当日は、多くの諸先生方が参加され戸惑いましたが、
脳脊髄液減少症の患者さんやご家族、そして関わり続けられた方々に『感謝』と『謝罪』をお伝えしたい 一心 での発表としました。
これからも、微力ではありますが、
『患者さんの立場になって』安全・安楽で、
こころ温まる看護の提供を実践できる看護学生の育成や
地域貢献させて頂きたいと考えています。
ご紹介ありがとうございました。
あきちゃんで~す 様
耳を塞ぎたい言葉を、こんな風に浴びてきているのだなぁ~
患者さんは…
どんなに耐えがたい日々が続いたのだろうかと
撃沈したことを今でも鮮明に覚えています。
患者さんあっての看護です。
多くの医療者に、情報提供をしていきます。
コメントありがとうございました(感謝)。
ナイチンゲール様
ご経験を共に活かして、看護の質の向上に貢献できたら
こんなに微笑ましいことはないですね。
発表させていただきました帰路中、高校生の息子様が脳脊髄液減少症を患っているお母様(看護師)に声を掛けていただきました。
私と同じように、
患って知り得た病態
看護師として何もできない葛藤
母親としてどうにかしてあげたい思い
を打ち明けていただけました。
経験してきたからこそ、アドバイスをすることができたところもあります。
また、私の無謀たる希望を受け入れてくださった施設(RI脳槽シンチ検査)が、治療が進展し 地域医療の発展が
成されていたことを、研究会の発表で知り得ることができました。
高橋先生がお話しされる“ポジティブに”進んで来れて良かったと感じました。
チーム看護(医療)いつでも協力させてくださいね。
ご投稿ありがとうございました。
小林喜美江様
本当に貴重な御発表をありがとうございました。
小林様の益々の御活躍と御回復を心よりお祈り申し上げます
高橋浩一 先生
小林喜美江 様
お返事ありがとうございました。
ナイチンゲールの「看護覚え書」だったか、「看護の基本は、窓を開けて新鮮な空気を取り入れること。」という文章を読んだ事があります。
これは、単に物理的なことを指すのではなく、心の窓に新鮮な空気を吹き込むことを比喩しているのだなとも感じます。
半年という長期入院中に何度「新鮮な空気」を送り込んでいただけたか、ありがたい思いで一杯ですし、患者の側にも「心の窓」をオープンにしておくレディネスが必要なのだと思っています。