小児期、学童期発症の脳脊髄液減少症126例の検討 臨床像と対応法
小児期、学童期発症の脳脊髄液減少症126例の検討
臨床像と対応法
目的
小児期(15歳以下)に発症した脳脊髄液減少症について治療予後を中心に検討し、臨床像、および現状の問題点を考察した。
対象と方法
対象は、15歳以下に脳脊髄液減少症を発症し、発症から5年以内にブラッドパッチを施行した126例(男性63例、女性63例、平均年齢13.2歳)である。
結果
ブラッドパッチ治療前は、欠席せずに通学できる症例(Grade 1)が9例 (7.1%)、症状のため、通学できる日が限られる症例 (Grade 2) が61例 (48.4%) 、通学不能症例 (Grade 3) 、ほとんど寝たきり状態 (Grade 4)がともに、28例 (22.2%) であった。これがブラッドパッチ施行後には、Grade 1が、74例 (58.7%)、Grade 2が、41例 (32.5%)と、9割以上が、就学可能な状態に改善した。一方で、Grade 3が5例 (4.0%)、Grade 4 が2例 (1.6%) と、難治例も存在している。治療予後は著明改善が91例(72.2%)、軽度改善が24例(29.0%)、不変7例(5.6%)、不明4例 (3.2%)と、9割以上に何らかの効果を認めた。
考案
脳脊髄液減少症に対するブラッドパッチの有効率は成人例では約75%であるのに対し、小児例では90%以上であった。脳脊髄液減少症症例の中には起立性調節障害、自律神経失調症などと診断されながらも治療効果が乏しく経過観察されている症例も存在した。特に頭痛を伴っている場合は、脳脊髄液減少症の可能性を考慮すべきである。しかし、難治症例の存在や、診断基準、特に小児期についての検討が少ないなど問題点が残されており、さらなる検討が必要である。また発症早期であれば、半分以上の症例が安静、点滴といった保存的加療で軽快するため、早期の診断、対応も重要と考えられる。
結論
脳脊髄液減少症小児例において、ブラッドパッチは有効な治療法である。そのために本症の認知度向上が望まれる。
高橋浩一 先生
学会発表お疲れ様でした。
BP前に、通学不能の割合がそんなに高いということに驚いています。
交通事故との関連から、保険適用等たくさんの問題をはらんでいますが、子どもの問題だけでも、なんとか先発的に解決できないものかと胸が痛みます。
ただ、現場では、子どもが不調を訴えたとき、無理をしてでも活動を継続させるという傾向は、三十年前に比べると、ずいぶん減ってはいると思います。
疾病名の認知度は高くないながらも、徐々に進んでいますし、当地を含めて、高橋先生はじめ先生方が講演された地域では、子どものケアという観点では、ずいぶん留意されるようになりました。水分補給などは、口酸っぱくなるほど、あらゆる機会にアナウンスされています。
保険適用されれば、「知らなかった」などということはあり得ないので、早くそうなることを期待します。
「子どもの問題は、どう突き詰めてみても、大人の問題である。」のですから…。
あきちゃんで~す様
コメントありがとうございます。
認知が進んできたとは言っても、まだまだなのが実感です。
本当に子どもの脳脊髄液減少症、認知されてほしいです。