特発性低髄液圧症候群に伴う慢性硬膜下血腫156例の検討
日本脳神経外科学会 第77回学術総会、発表演題の抄録です。
目的
特発性低髄液圧症候群(SIH)に伴う慢性硬膜下血腫(CSDH)症例について、治療方針について検討した。
対象
対象はSIHにCSDHを合併した156例(男性98例、女性58例、平均年齢 48.8歳)である。
結果
保存的加療のみで治癒した症例が26例 (16.7%)、ブラッドパッチを先行した症例は88例 (56.4%)、血腫洗浄術を先行した症例が42例 (26.9%)であった。ブラッドパッチ先行例のうち、49例(55.7%)は、初回治療のみで治癒した。38例(43.2%)が、その後に血腫洗浄術を要し、そのうち5例(13.2%)が、硬膜下血腫再発のため手術を追加した。血腫洗浄術先行例のうち、初回手術のみで改善した症例は9例 (21.4%)で、33例 (78.6%) がブラッドパッチを追加、16例(38.1%) が硬膜下血腫再発による手術追加を要した。転帰はブラッドパッチ先行例の1例が、硬膜下血腫手術待機中の脳ヘルニア合併による高次機能障害、視野障害を後遺した。また、手術先行症例中、2例に周術期合併症を認めたが、その他の症例は転機良好であった。
考案
CSH合併例の治療法として、血腫洗浄術を先行した場合、再発や治療が追加になる率が高く、周術期合併症を認める場合があるため、保存的加療が有効でない場合は、速やかにブラッドパッチを先行すべきと考えている。一方、ブラッドパッチ後の脳ヘルニア合併などが危惧されるため、血腫量が多い症例や、髄液圧が上昇している症例では、ブラッドパッチ直後に血腫洗浄術を行う方が安全と考える。ブラッドパッチ施行後のCSDH症例の手術所見は、頭蓋内圧が高く、脳表の盛り上がりが良好である。硬膜下ドレーン挿入に際し注意と工夫を要することで、血腫再発率低下など治療成績向上につながる可能性がある。
結論
SIHに伴うCSDHは、適切な治療方針により予後が良好である。保存的加療にて効果が乏しい場合はブラッドパッチを先行すべきである。ただし血腫量が多い症例、髄液圧が上昇している症例では、ブラッドパッチに続いて直ちに血腫洗浄術を行う必要がある。
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脳脊髄減少症の可能性がある40代の女性です。もう、7年以上いろいろ病院に行ってもこの病名にたどり着かず苦しみました。本当は高橋先生に診て頂きたいけれど、もう体は立つのも辛く、寝ていても全然楽ではありません。首をずっと締められているようで苦しく痺れ、吐気がし全身に症状が出ています。トラマール飲んでも辛いです。でも、今の病院ではどんなに涙を流し、辛いと訴えても検査が混んでいるため、1ヶ月待つ感じです。月水しかいない先生なので、何でも1週間後とか言われます。でも、私は1日耐えるのも気がおかしくなりそうです。寝ていれば楽なら待つのですが、死んだ方が楽って思うくらいの症状です。この病気はそんなに緊急性のない、そして、家で我慢してるしかない病気なのですか?立つと鼻水が出てくるので、テステープで検査したら糖が出ました。
コメントありがとうございます。
文面からの判断には限界があるので、申し訳ございません。
益々のご回復を心よりお祈り申し上げます。
以前、コメントしたものです。
RI脳そうシンチ検査ではっきりとした漏れは見つからず、腰部に怪しいところ漏れはあるけれど、穿刺部位の近くなので決定的ではなかったです。1時間後に膀胱に漏れていることが確認できました。24時間後のRI残存率は8.5%でした。生食パッチ直後1時間ほど首、頭の締め付けが半分くらい楽になり、胸のムカムカがスッキリしました。ブラッドパッチを初めて腰部二ヶ所にしました。直後、2、3時間は楽になりましたが、翌日には吐気と首、頭の締め付けが強くて痛いです。普通、パッチ後は5日くらいは楽になって、その後、悪化して、後に徐々によくなるものみたいですが、私のように7年の慢性的なものは、それに当てはまらないのでしょうか?私のようなような症状はパッチを何度かすればよくなる可能性はあるのでしょうか?担当医は、漏れがはっきりしている人や急性の人は治ると言っていますが、私の場合はわからないとおっしゃってます。先生の経験上のお話を聞かせてもらえたら嬉しいです。
コメントありがとうございます。
脳脊髄液減少症の診断、治療の判断は非常に複雑ですので、文面からの判断には限界があります。申し訳ございません。
ご快復を心よりお祈り申し上げます。