耳鳴り
- 2013.08.13
- 学会・講演・論文

先日、和歌山県立医科大学などの共同研究チームが、重症の耳鳴りの原因となる脳領域を特定したと報告しました。
http://science.slashdot.jp/story/13/08/03/2042245/和歌山県立医科大学、重症の耳鳴りの原因となる脳領域を特定
この報告によると、耳鳴りの強さと関連するのは尾状核と海馬、耳鳴りの不快感と関連するのは内側前頭葉下部としています。
以下は、あくまで私見ですが、尾状核と海馬は、ともに記憶と学習に関与しています。
そして尾状核と海馬は学習した情報を、「快」と感じる場合は、ドーパミン作動性神経細胞が効率よく刺激されます。
逆に、「不快」と感じる場合は、ノルアドレナリン系、セロトニン系の神経の機能が上手く作用しません。
そして不快が持続して、脳内のノルアドレナリン、セロトニンが減少すると、うつ病になります。
また内側前頭葉についてですが、前頭葉の下部は、情動や認知などに関与していると言われています。
日常の臨床では、前頭葉の下部が障害された時に、多幸的、さらには抑制がなくなり、おめでたい感じの性格になり場合があります。
内側前頭葉下部が、不快感と関連するといった事は存じ上げていませんでしたが、あっても良い話と思います。
(もともと前頭葉は人間で最も発達しており、脳機能的研究が最も遅れている領域と言われている。)
そして同研究グループは、耳鳴りは治せなくても不快感を取り除ける可能性を指摘しています。
耳鳴り自体は、本当に不快です。
ただ、耳鳴りが脳腫瘍などの脳疾患により生じているのでなければ、いかに受け入れるか!を考えた方が良いと指摘する耳鼻科医師も少なくありません。
痛みやしびれに関しても、苦痛でしょうが、24時間のうち、ほとんど苦痛を感じていたのでは、脳内の伝達物質のバランスが崩れ、別の異常を生じ得ます。
いかに体調不良の時に、気持ちを前向きに持っていけるか!
別に24時間ずっと、前向きに保つ必要はありません。1秒でも、1分でも、何らかの形で、前向きな時間が作れると良いと思います。
時に、非常に難しい問題でテーマですが、やはり重要と再認識した報告でした。
耳鳴りは実際には音がしていないのに音が聞こえるように感じる現象。日本人の300人に1人が重症の耳鳴りに悩まされているという。これまで耳鳴りは脳の異常に原因があると考えられてきたが、具体的な脳の部位は特定されていなかったという。研究チームではMRIを使用して脳の活動を計測し、脳の各部位のつながり具合を独自に開発した手法で計算。脳全体でつながりの程度と耳鳴り症状との相関を調べたとのこと。その結果、耳鳴りの強さと関連するのは尾状核と海馬、耳鳴りの不快感と関連するのは内側前頭葉下部であることが判明したそうだ。耳鳴りと不快感に関連する部位が違うことから、耳鳴りは治せなくても不快感を取り除ける可能性があるという。今後はさらに詳しい部位の特定や治療法確立に向けて研究を進めるとのことだ。
高橋 浩一 先生
残暑お見舞い申し上げます。
先日の国際治療談話会の國広先生のように、耳鼻科の諸症状に脳脊髄液減少も関係していることを念頭において診察してくださったら、どれだけの患者さまが救われるのかと思います。
http://www.takahashik.com/blog/2013/05/post-616.html
「神経伝達物質」には非常に興味があり、有田秀穂先生の本を何冊か読みました。
それらの著書の中に、セロトニンやドーパミンの話も出てきます。
http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&url=search-alias%3Dstripbooks&field-keywords=%E6%9C%89%E7%94%B0%E7%A7%80%E7%A9%82%E3%80%80%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%9F%E3%83%B3&rh=n%3A465392%2Ck%3A%E6%9C%89%E7%94%B0%E7%A7%80%E7%A9%82%E3%80%80%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%9F%E3%83%B3
あきちゃんで~す様
コメントありがとうございます。
有田先生の著書、御紹介ありがとうございます。
早速、読んでみたいと思います。
高橋浩一先生
『耳鳴り』は、私にとって幼少期から今までずっと悩まされている症状の一つです。
ほかにも浸出性中耳炎など耳鼻科系の病気に毎年かかり、小学校5年生になるまでプールや海に入ったことがなく、夏は大嫌いでした。初めてプールに入れた時は嬉しさよりも、恐怖の方が大きかったのを覚えています。そのため、スイミング教室に通わせてもらい、水に慣れるようにして小学校卒業までには数メートル泳げるようになりました。
『耳鳴り』について話を戻しますが、アルバイトをしていた時に症状を悪化させてしまったような気がします。
最初のバイトは、コンビニでした。週5~6日(3~10時間)勤務していて、常に人混みの中に投げ出された感じがしました。
次のバイト先は、ショッピングセンターです。その中で玩具・文具売場、向かい側はアミューズメントパーク(ゲームセンター)で、あとは常に店内にかかる音楽…。この状態で突発性難聴になり、重症ではありませんが耳鳴りが再発し、元から低音が聞き取りが苦手でしたが更に悪化しました。その後、仕事を辞める前に店内に流す音楽の音量について改善を求め今は店内全体の音量が小さくなったと聞き、嬉しく思います。
今はどこへ行っても色々な音で溢れていますが、本当に必要な音は皆さんの耳に届いているでしょうか?不必要な音ばかり聞いていることはないですか?
ゆみぷー様
コメントありがとうございます。
音に限らず、情報も散乱していますね!
不必要な情報は、なるべく排除して、必要な情報だけ取り入れられのが現在の情報化社会に重要と思います。