第40回 小児神経外科学会 その2
- 2012.06.12
- 学会・講演・論文
小児期に発症した脳脊髄液減少症 -RI脳槽シンチグラフィー所見と治療予後-
目的
小児期に発症した脳脊髄液減少症についてRI脳槽シンチグラフィー所見と治療予後に関して検討した。
対象と方法
対象は、15歳以下に脳脊髄液減少症を発症し、発症から5年以内にブラッドパッチを施行した71例(男性36例、女性35例、平均年齢13.4歳)のうち、RI脳槽シンチグラフィーを施行した66例である。これらの症例について、RI脳槽シンチグラフィー所見上、髄液漏出像を認めた群(直接群)と膀胱内早期集積、RI残存率低下により診断した群(間接群)とで、治療予後など比較検討した。
結果
直接群が25例(37.9%)存在し、男性14例、女性11例、平均年齢13.4歳であった。間接群は41例(62.1%)で、男性18例、女性23例、平均13.1歳であった。治療予後は全71例では改善64例(90.1%)、部分改善4例(5.6%)、不変3例(4.2%)であった。RI脳槽シンチグラフィー所見別にみると、直接群では改善21例(84.0%)、部分改善2例(8.0%)、不変2例(8.0%)、間接群は改善38例(92.7%)、部分改善2例(4.9%)、不変1例(2.4%)であった。直接群と間接群の予後に関して、統計学的有意差を認めなかった。
考案
脳脊髄液減少症の診断において、RI脳槽シンチグラフィーは有用である。特に髄液漏出像は厚生労働省脳脊髄液減少症の診断・治療法に関する研究班が中間報告した脳脊髄液漏出症画像判定基準・画像診断基準において陽性所見として取り上げられている。一方、間接所見に関しては課題があるため、今回の診断基準では採用されていない。しかし、間接群においてもブラッドパッチ治療は直接群同様に有効であり、重要な所見と考えるべきである。
結論
脳脊髄液減少症小児例においてRI脳槽シンチグラフィーの間接所見は診断上、重要な所見である。
注:演題登録時点では、厚生労働省脳脊髄液減少症の診断・治療法に関する研究班は中間報告の段階
-
前の記事
第40回 日本小児神経外科学会 その1 2012.06.12
-
次の記事
第40回 小児神経外科学会 その3 2012.06.19
高橋浩一先生
素晴らしいです。
多くの悩める患者さんとご家族が、少しでも前を向いて進める事を願います。
AT様
コメントありがとうございます。
脳脊髄液減少症について解決すべき問題がたくさんあります。一つ一つ、確実にクリアーし、診断・治療成績向上につなげていきたいと思います。
確実な研究データがあること・・国は速やかに
目を向けることだと思っております。
あの時、
大学病院で先生の正確な診断と判断力のお陰様で
現在自分の意思表示が出来るまで回復され
感謝しております。
今年、事故以来はじめで健康診断行ってきました。
近くの病院内科の先生が問診の時
持病はない・交通事故の後遺症治療中と書き、
6-7年前今より認知されなかった頃、
脳脊髄液減少症
専門医に出会ったことことはあなたは幸運でしたねと
言ってください、しばらく病気のことお話ししました。
先日は大変お世話様でした。
あぁちゃん様
コメントありがとうございます。
そうでしたか!その1件も、脳脊髄液減少症の認知度上昇を物語っていますね!
益々の御回復をお祈り申し上げます。