日本脳神経外科学会 第70回学術総会
- 2011.10.16
- 学会・講演・論文
日本脳神経外科学会 第70回学術総会
シンポジウム17 脳脊髄液減少症 「小児期に発症した脳脊髄液減少症56例の検討 -病態と治療法-」発表させて頂きました。
以下、発表演題の抄録です。
小児期に発症した脳脊髄液減少症56例の検討 -病態と治療法-
Fifty six cases of cerebrospianl fluid hypovolemia in childhood and adolescence: Clinical features and treatment modalities
山王病院脳神経外科 高橋 浩一
Koichi Takahashi Department of Neurosurgery, Sannou Hospital
目的
小児期に発症した脳脊髄液減少症の病態および治療法に関して検討した。
対象と方法
対象は、15歳以下に脳脊髄液減少症を発症し、発症から5年以内にブラッドパッチを施行した56例(男性32例、女性24例、平均年齢13.5歳)である。これらの症例について、脳脊髄液減少症の病態、ブラッドパッチの方法、回数、治療予後に関して成人例と比較検討した。
結果
56例中、ブラッドパッチ治療回数は、1回が22例 (39.3%)、2回が22例 (39.3%)、3回が11例 (19.6%) 、4回が1例(1.8%)であった。5回以上を要した症例は存在せず、平均ブラッドパッチ回数は1.8回であった。成人例の平均ブラッドパッチ回数は2.2回であり、成人と比し少数回数の傾向があった。治療予後は改善が39例(69.6%)、部分改善が13例(23.2%)、不変4例(7.1%)であった。成人例の治療有効率は76.3%であり、成人例と比較し治療成績は良好であった。複数回のブラッドパッチを要した症例は、効果が不十分であった症例が16例、症状が再発した症例が16例、効果を示さない症例が4例であった。
考案
脳脊髄液減少症小児例においてブラッドパッチの治療回数は、成人に比較し少ない回数で改善を得る事が多い。また症状が再発しても、ブラッドパッチの追加により、軽快する症例が多く存在した。脳脊髄液減少症は認知度が低く、診断に至らずに起立性調節障害などの診断にて経過観察されている症例が多い。しかし、ブラッドパッチは小児期発症の脳脊髄液減少症に対して9割以上に何らかの改善を示す有効な治療法である。難治性の起立性頭痛などにより日常生活に支障を来たしている症例に対しては、脳脊髄液減少症を鑑別診断として考慮すべきと思われた。
結論
脳脊髄液減少症小児例に対する治療法として、ブラッドパッチが有効である。ブラッドパッチは成人に比較し、少数回数で効果を示す傾向があった。
高橋先生
発表、お疲れ様でした。そして有難うございました。
沢山の患者さんを診てこられたドクターたちの経験がいかされて、ひとりでも多くの子供たちが救われますことを願ってます。
これからもどうぞ宜しくお願い致します。
tomoe todoroki様
コメントありがとうございます。
経験的な部分が多いとの意見も頂いていますが、9割以上の子どもたちを改善させたという結果は、重要と考えています。
「論より証拠」と言いますが、証拠はそろいつつあります。「論」をさらに磨きたいと思います。
高橋浩一 先生
かつての中国の指導者、鄧小平氏の言葉に「白い猫でも、黒い猫でも、ネズミを捕るのがよい猫だ。」という言葉があります。
「論より証拠」が大事です。
病を抱えるものにとって、やはり、最悪の状態から抜けでることが重要なのですから。
「百聞は、一見にしかず。」とも言います。経験値に勝るものはないと思います。
今後とも、よろしくお願い致します。
F様
コメントありがとうございます。
ほとんどの疾患が証拠、つまり経験的に効果があるといった事から治療が進んでいます。
脳脊髄液減少症、確かに解決すべき問題を抱えていますが、歴史が浅いため当然と思います。
古くから知られている疾患でも、治療法が進歩するなど、研究が進んでいく訳ですから!
いつも貴重な御助言ありがとうございます。
昨日、家内が先生より普段の生活に戻って良いとの診断を受けた者です。
先生、本当にありがとうございました。家内が酷い頭痛を訴えてから2ヶ月が過ぎましたが一回のブラッドパッチでここまで回復するとは、正直思ってもいませんでした。改めてブラッドパッチの有効性を認識させていただきました。家内は突発性ということもあり、一回のブラッドパッチで快方に向かい、合併症の所見も消えましたが、あんなに元気だった人間が急に発症するとは。
お蔭様で今日は美容院に行ってるみたいです。
昨日も待合室で初診であろう方を拝見しましたが、本当につらそうでした。少しでも多くの方に脳脊髄液減少症を認識していただき、多くの医療機関で治療が出来ようになる日が来ることを祈っております。私も保険適用に向け微力ながら協力させていただきます。
先生もお体、ご自愛ください。
SG SPECIAL様
コメントありがとうございます。
脳脊髄液減少症、誰でも発症し得るし、治療法もあります。しかし、いまだに認知度が低いです!
良くなった方々の協力も必要です。周囲に疑わしい方がいましたら、御相談頂けたら幸いです。