脳脊髄液減少症や水頭症など脳脊髄液循環障害を専門に診療を行っている高橋浩一の公式サイトです。

髄液減少症からみた髄液の動態と機能

髄液減少症からみた髄液の動態と機能

日本頭痛学会誌に以下の論文を採用頂きました。

高橋 浩一 脳脊髄液動態の臨床トピックス1:髄液減少症からみた髄液の動態と機能 日本頭痛学会誌 46:103-110, 2019

Key words: 脳脊髄液動態,髄液減少症,ブラッドパッチ,脊髄被裂,キアリII型奇形

本論文では症例を提示し、髄液の機能と動態、さらに髄液漏出が及ぼす影響について臨床的、基礎的の両観点から述べています。

結論のみ抜粋します。

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髄液減少症を通して,髄液の機能と動態について検討した.

髄液の尾側から頭側へのバルクフローは乏しく,撹拌と拡散しているのみで,少なくとも上矢状洞付近のくも膜顆粒が髄液の主吸収路ではない.

脊髄神経根を介する髄液吸収経路が存在し,髄液減少症の一病態として,同経路からの髄液過吸収が考えられる.

髄液減少症で認められる高次機能や振戦,尿失禁,運動障害,味覚障害などの症状出現機序,およびブラッドパッチにて改善するメカニズムを解明することで髄液の機能について新たな知見が得られる可能性がある. 

髄液漏出は,先天的に生じた場合は大脳レベルに影響を与えるため,髄液減少症の多彩な症状とも関連がある可能性も考えられる.