脳脊髄液減少症や水頭症など脳脊髄液循環障害を専門に診療を行っている高橋浩一の公式サイトです。

CSF Research

CSF Research

以下の論文が、先日採用されました。
Cerebrospinal fluidとは髄液の事です。略してCSFと言います。

Cerebrospinal fluid leakage after radioisotope cisternography is not influenced by needle size at lumbar puncture in patients with intracranial hypotension.

Koichi Takahashi and Tatsuo Mima Cerebrospinal Fluid Research 2009, 6:5 (27 May 2009)

http://www.cerebrospinalfluidresearch.com/content/6/1/5

簡単に解説しますと、RI脳槽シンチで、特に膀胱内早期集積や残存率低下などの間接所見は、穿刺した際の、針穴からの漏れが原因でないかととの指摘を受ける事があります。

そこで、脳脊髄液減少症が疑われた方々を対象に、腰椎穿刺の際の針の太さを22G, 23G, 25Gと異なるサイズで行い、RI脳槽シンチ所見に差が生じるか検討しました。

同時に、穿刺後頭痛の頻度、程度を検索しました。

結果は22Gが、23G, 25Gに比べややRI残存率が低い傾向にありましたが、統計学的有意差を認めませんでした。

穿刺後頭痛は、25G群で発生頻度は低かったですが、これも統計学的有意差を認めませんでした。

RI残存率と穿刺後頭痛の関係は、RI残存率の低い方に、強い穿刺後頭痛が生じる傾向がありました。

結論:

脳脊髄液減少症の診断に際し、22G, 23G, 25Gを使用してのRI脳槽シンチでは、その所見に差を認めなかった。

髄液穿刺に伴う針穴からの髄液の漏出は、診断上、無視できる程度と考えられた。