小児期・学童期に発症した脳脊髄液漏出症
- 2020.01.26
- 学会・講演・論文
小児期・学童期に発症した脳脊髄液漏出症に関する英文論文をNervous System in Childrenに掲載頂きました。
TakahashiK. Cerebrospinal fluid leakage in childhood and adolescence: analysis of 195 patients and literature review. Nervous System in Children 44: 317─323, 2019
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邦文要旨
小児期・学童期に発症した脳脊髄液漏出症195例の検討
学童期に発症した脳脊髄液漏出症について臨床病態、治療予後を検討した。対象は、15歳以下発症した195例(男性99例、女性96例)である。治療予後は195例中、改善155例(79.5%)、部分改善32例(16.4%)、不変8例(4.1%)であった。また予後に関してRI脳槽シンチにて、髄液漏出像を認めた群と、明らかでない群の間で、統計学的有意差を認めなかった。脳脊髄液漏出症小児例に対し、ブラッドパッチは有効な治療法である。難治性の頭痛、不定愁訴症例では、脳脊髄液漏出症の可能性を考慮すべきである。
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脳脊髄液減少症(漏出症)の診断には、RI脳槽シンチは有用です。ですが、髄液漏出像が明らかでない症例が少なくありません。
髄液漏出像が明らかでなくても、ブラッドパッチが有効な症例が存在する現状、このようなことを周知し、治療成績を向上させることが大切です。その意味で、本論文が掲載された意味は大きいと考えています。
今後は、RI残存率について、またCTミエロやMRミエロ、硬膜外生理食塩水注入など診断技術に対するさらなる検討が必要で、まだまだ問題が山積みです。
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