脳脊髄液減少症や水頭症など脳脊髄液循環障害を専門に診療を行っている高橋浩一の公式サイトです。

脳脊髄液減少症症例の眼症状の検討

脳脊髄液減少症症例の眼症状の検討

脳脊髄液減少症症例について、眼科医師である山上明子先生が、以下の論文を発表されました。

山上 明子他 脳脊髄液減少症症例の眼症状の検討 神経眼科 38:162~171,2021

この論文は、

「交通事故などの頭頸部外傷後に様々な眼科的な異常を訴える患者は多いが,通常の診療では自覚症状を説明できるような異常が検出されない場合や

視力障害や 視野異常など他覚検査で視機能異常がみられても,その異常を眼内や脳内の所見では説明できず心因性と診断されることも少なくない.」

の文章から始まります。

脳脊髄液減少症症例の自覚的な眼症状としては眼痛、ピントが合わない、複視、視力低下、視野異常があると述べられています。

実際の症例と眼科検査を提示され、ブラッドパッチや点滴の客観的な効果についても言及され、診療現場の臨場感が伝わってきます。

眼科領域から脳脊髄液減少症に関する認知度が広がる、非常に示唆に富む論文と感じています。