コロナワクチン接種後体調不良
- 2023.03.26
- 学会・講演・論文
先日開催された、第二回日本脳脊髄液漏出症学会
3つの演題を、発表させて頂きました。どれも非常に重要な知見と考えています。
最初に発表させて頂いたのは、
「コロナワクチン接種後体調不良に対し、ブラッドパッチが有効であった9例」
です。
コロナワクチンには、頻度は低いものの後遺障害に悩まれている症例が存在します。
しかし治療法は確立していません。少数例でありますが、ブラッドパッチにて効果を示した症例が存在しているのは事実です。
抄録は以下の通りです。
……………………..
コロナワクチン接種後体調不良に対し、ブラッドパッチが有効であった9例
Nine cases of cerebrospinal fluid leak following COVID-19 vaccine effectively treated by epidural blood patches
高橋 浩一1,橋本 康弘2
1山王病院脳神経外科, 2福島県立医科大学法医学講座
【目的】新型コロナワクチン接種後に体調不良が出現し、ブラッドパッチが有効であった9例を経験したので報告する。
【対象と方法】新型コロナワクチン接種後に体調不良が持続したため山王病院を受診した9例(男性5例、女性4例、14-40歳、平均年齢20.8歳)において、臨床像、予後について検討した。また9例中6例に髄液中脳型トランスフェリン (Tf-1)を測定した。
【結果】対象9例中、ファイザー社製7例、モデルナ社製1例、ファイザー、モデルナ交互接種が1例であった。症状は、全例に頭痛あり、2例が嘔気、その他、めまい、倦怠感、視力障害、全身痛をそれぞれ、1例に認めた。RI脳槽シンチにて髄液漏出像を示したのは1例(11.1%)、間接所見が8例(88.8%)であった。Tf-1値はコントロールと差が認められなかった。全例にブラッドパッチを行い、著名改善7例を含み、全例で何らかの改善を認めた。
【考案】新型コロナワクチン接種は、パンデミック改善のため、有効な手段であるが、長期の安全性が担保されていない。コロナワクチン副反応データベースでは、評価不能を含めて1,300人以上の死亡例を含む3万件以上が報告されている。日本人、特に若年者のコロナ感染による重症化率・死亡率の低さを考えると新型コロナワクチン接種の適応は慎重に考えるべきである。またRI脳槽シンチ所見やTf-1値を考慮すると、新型コロナワクチン接種後遺症では、髄液産生は亢進していない可能性が高い。そのため画像診断による間接所見や硬膜外生理食塩水注入試験が重要となる。現状、新型コロナワクチン接種後の体調不良に関し、効果的な治療の報告は存在しない。ただし9例ではあるが、ブラッドパッチが効果を示した症例は、今後の検討に値すると思われる。
【結語】新型コロナワクチン接種が契機で発症し、ブラッドパッチが有効であった9例を報告した。新型コロナワクチン接種後に体調不良が持続している症例では、脳脊髄液減少症を鑑別すべきである。
Key words: cerebrospianl fluid leak, COVID-19 vaccination, epidural blood patches
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