髄液異常と認知障害
- 2023.08.08
- 学会・講演・論文
【目的】正常圧水頭症の症状として認知障害が代表的である。一方、髄液減少症でも、高次機能障害を生じる症例が存在する。しかし、その機序は不明である。今回、髄液の機能について検討を試みた。
【症例】13歳女性。交通事故後に頭痛や著明な記銘力障害など出現、書字不能となった。髄液減少症の診断にてブラッドパッチを施行、書字可能となった。
【考案】近年、脊髄硬膜外リンパ系吸収の構造が解明され、髄液吸収調節能に重要である可能性が示唆されている。これら機能障害による髄液吸収不全により正常圧水頭症、吸収過剰により髄液減少症が発生すると考えられる。しかし、認知障害発症の機序については,根拠は不十分である。これらの詳細メカニズム解明は、髄液循環生理において新たな知見を今後もたらす可能性が高い。
【結語】髄液の異常と認知障害発生機序を検討することは、脳脊髄液の動態のみならず認知機能解明につながる可能性が示唆された。
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