コロナワクチン接種後体調不良
- 2023.12.03
- 学会・講演・論文
第6回起立不耐症研究会
第6回 起立不耐症研究会 | 起立不耐症研究会 (jsoi-online.org)
「コロナワクチン接種後体調不良と起立不耐」
の演題で発表させて頂きました。多くの貴重な質問、ご意見を賜りました。
また起立不耐症の病態、内科、小児科、耳鼻科など様々な診療科から発表があり、勉強させて頂きました。
抄録は以下の通りです。
【目的】新型コロナワクチン接種が契機で体調不良が出現した16例を経験したので報告する。
【対象と方法】新型コロナワクチン接種後に体調不良が持続したため山王病院を受診した16例(男性9例、女性6例、平均年齢23.7歳)において、臨床像、予後を中心に検討した。
【結果】対象16例中、脳脊髄液減少症と診断しブラッドパッチを施行した症例は12例 (75.0%) であった。これら12例のうちブラッドパッチにより著明に改善した症例が7例 (58.3%)、部分改善が5例 (41.7%) で、全例に何らかの効果を認めた。明らかな髄液漏出像を認めず、硬膜外生理食塩水注入の効果が乏しいため、脳脊髄液減少症の診断に至らない症例が3例 (18.8%) 存在した。また、くも膜下出血の既往のある1例(6.3%) は、画像上、水頭症が示唆され、髄液排除を行い、経過観察中である。
【考案】新型コロナワクチン接種は、感染と重症化予防に対して効果があると言われている一方で、接種による合併症が問題となっている。コロナワクチン副反応データベースでは、心筋炎や、けいれん、不整脈、頭蓋内出血、播種性血管内凝固、アナフィラキシーショックなどによる死亡例を含む症例が報告されている。新型コロナ感染症およびその後遺症も、注意すべき問題であるが、新型コロナ感染症5類に移行後、重症化例は稀と報告されている。変異を繰り返し弱毒化している現状を考えると、新型コロナワクチン追加接種の適応は慎重に考えた方がよい。今回の検討では、新型コロナワクチン接種後の体調不良症例のうち、脳脊髄液減少症と診断した症例が75%存在し、ブラッドパッチが有効であった。新型コロナワクチン接種後の体調不良に関し、特効的治療が存在しない現状では、症状が持続する症例では、脳脊髄液減少症を鑑別診断として考慮すべきである。
【結語】新型コロナワクチン接種が契機で体調不良を呈した16例を報告した。新型コロナワクチン接種の適応は慎重に考えた方がよいと思われる。
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