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学童期脳脊髄液漏出症診断のピットフォール

学童期脳脊髄液漏出症診断のピットフォール

学童期脳脊髄液漏出症診断のピットフォール 

A diagnostic pitfall for cerebrospinal fluid leakage in adolescents

【目的】臨床経過より見逃されやすいブラッドパッチ有効症例を提示し、学童期脳脊髄液漏出症診断を中心に考察を試みた。

【対象と方法】脳脊髄液漏出症と診断した20歳未満の474例(男性240例、女性234例、平均年齢14.0歳)のうち、特異な経過を呈した脊髄脂肪種術後の2例、ゴーハム病の2例を提示し、脳脊髄液漏出症の病態について検討した。

【症例1】13歳男性。脊髄終糸脂肪腫に対して手術を施行、術後より、平衡機能障害、歩行障害が出現した。RI脳槽シンチでは、髄液漏出像を認めなかった。硬膜外生理食塩水注入の効果確認後にブラッドパッチを施行、諸症状は改善した。

【症例2】19歳女性。2歳時に右大腿骨の病的骨折を繰り返し、 ゴーハム病と診断された。19歳時、強固な頭痛など出現、MRIにて小脳扁桃下垂、脊髄空洞症を認めた。RI脳槽シンチでは右大腿骨へのRI集積を認めた。ブラッドパッチを施行、脊髄空洞縮小など改善を認めた。

【考案】脊髄手術後に強固な起立性頭痛や神経学的に説明困難な症状が持続する場合は、脳脊髄液漏出症が存在している可能性がある。またゴーハム病のような骨格系に異常を呈する疾患、小脳扁桃下垂進行例は、脳脊髄液漏出症を疑う症例と考える。診断に関して、学童期症例ではMRIにて低髄液圧所見を認める症例は稀である。RI脳槽シンチやCTミエロにて漏出が明らかでない症例では硬膜外生理食塩水注入の効果が診断に有用である。

【結語】小児脊髄手術後に難治症状が持続する症例、小脳扁桃下垂が進行する症例では、脳脊髄液漏出症を鑑別診断として考慮すべきである。

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    富山にて 2024.06.11

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