ゴーハム病の2症例
- 2025.06.10
- 学会・講演・論文

脳脊髄液漏出症を合併したゴーハム病の2症例
Two cases of Gorham-Stout disease in adolescents complicated with cerebrospinal fluid leakage
高橋 浩一1、三浦 真弘2
1山王病院脳神経外科, 2 大分大学医学部解剖学
Koichi Takahashi1, Masahiro Miura2
Department of Neurosurgery, Sanno Hospital, Tokyo, Japan1
Department of Anatomy, Oita University, Oita, Japan2
【目的と方法】脳脊髄液漏出症と診断した20歳未満の508例(男性252例、女性256例、平均年齢14.0歳)のうち、ゴーハム病と診断された2症例を提示し、脳脊髄液漏出症の病態及び髄液動態について考察を試みた。
【症例1】13歳女性。6歳時、ゴーハム病と診断された。9歳時に頭痛症状が悪化 、RI脳槽シンチでは頭蓋から頚部へ進展するRI集積を認め、脳脊髄液漏出症と診断した。またMRIでは、小脳扁桃下垂が進行している。治療効果が一時的で、3年間に4回のブラッドパッチを行い経過観察中である。
【症例2】19歳女性。2歳時に右大腿骨の病的骨折を繰り返し、 ゴーハム病と診断された。19歳時、強固な頭痛など出現、MRIにて小脳扁桃下垂の進行、脊髄空洞症を認めた。RI脳槽シンチにて右大腿骨へのRI集積を認め脳脊髄液漏出症と診断した。2回のブラッドパッチを施行し、一時的に脊髄空洞縮小など改善を認めた。
【考案】ゴーハム病とは全身の骨が融解し、異常拡張を伴うリンパ管増殖が生じる原因不明の希少性難治性疾患である。提示症例から、髄液の過剰吸収に伴う髄液減少、小脳扁桃下垂、さらに症例2では脊髄空洞症も生じた。ブラッドパッチは、両症例とも効果は一時的であった。RI脳槽シンチ所見では、髄液とリンパ系との生理的関係から、提示症例は、脊髄域における髄液経リンパ管吸収路の稼働性を裏付けると考えられる。本症の治療成績向上のため、病態研究が必要である。
【結語】脳脊髄液漏出症を合併したゴーハム病症例を提示した。病態としてリンパ系への髄液過剰吸収も関係すると考えられた。
-
前の記事
奈良にて 2025.06.10
-
次の記事
記事がありません
コメントを書く